生成 AI を前提に技術面接を作り直した会社は、何を見るようにしたか
そだてる編集部| 公開

先に結論
- 読んだ会社の方針は、使わせる・使わせない・面接の段で分ける、の 3 つに大きく分かれます。
- 使わせる会社が見る項目に足したのは、AI の出力の問題を見つけて直せるか(Canva)と、判断の理由を説明できるか(GitLab)です。
- 編集部の勧めは、AI を使ってよい約 1 時間の面接でこの 2 つを見て、AI なしで確かめたい基礎は 45 分の面接 1 回にだけ残すことです。
面接官を任され、技術課題やコーディング面接を見直してほしいと言われたとします。「コーディング面接 生成AI」で検索すると(2026年10月19日、編集部が確認)、上位には面接対策の道具の紹介や、候補者向けの記事が並びます。採る側が自社の選考をどう作り直したかを並べた記事は見つかりませんでした。
この記事は、生成 AI を前提に技術面接や技術課題を作り直した会社が、自ら公開した記録を比べます。読んだのは海外 7 社(Canva・Amazon・GitLab・Anthropic・Zapier・Applied Intuition・OpenAI)と国内 3 社(カミナシ・スマートバンク・ウェルスナビ)の公開記録です。企画の段で挙がった会社の記録に、調査の段で英語と日本語の Web 検索と Zenn の検索で見つけたものを足しました。網羅ではありません。表の「−」は「公開されていない」で、「やっていない」ではありません。
先に言葉を短く説明します。
- 持ち帰り課題は、候補者が自宅で数時間から数日かけて解き、成果物を出す課題です
- ライブコーディングは、面接の場で面接官と画面を共有しながらコードを書く形式です
- 電話面接は、選考の初めに行う短い技術の面接です。電話に限らず、画面を共有して行うものも含みます
- オンサイトは、選考の後半に行う、長めの面接の組み合わせです。候補者を会社に招いて行っていたことから来た呼び名です
- MR(マージリクエスト)は、書いたコードを本流に入れる前にレビューを頼む仕組みです。GitHub の PR と同じものです
- Duo は GitLab の生成 AI の機能です
面接官が気づいたずれ
カミナシの面接官(ソフトウェアエンジニア)は、2026年9月7日の記事で、チームの採用で使ってきた持ち帰り課題とオンラインコーディングテストに起きたことを書いています(カミナシ、2026年9月7日)。候補者が AI を使って課題を作るようになり、Opus 4.5(Anthropic の生成 AI のモデル)がリリースされたあたりから成果物の精度が大きく上がりました。
「提出物の設計や実装は的確なのに、面接でその判断の理由を聞くと回答が返ってこない」
筆者は、変わったのは候補者ではなく、提出物を見れば技術のフィットが分かるという選考側の前提のほうだと書いています。提出物について面接で質問を重ねれば理解は確かめられます。ただしそれは、候補者に課題と面接で二重の時間を使わせることになる、とも書いています。
従来の課題が効かなくなった理由
AI が従来の問題を解けるようになったことを、次の 3 社が書いています(カミナシの提出物の話は上の節のとおりです)。
| 会社 | 書いていること |
|---|---|
| Canva | アルゴリズムとデータ構造を見る問題を AI に解かせると、数秒で正しく文書化された解答が出た |
| GitLab | 今の技術面接の中心は MR のレビュー課題だが、AI のコーディング支援は一般的なコードの問題の 90〜99% を見つけられる |
| Anthropic | 性能改善の持ち帰り課題で、同じ時間制限なら Claude Opus 4 がほとんどの応募者を上回り、Claude Opus 4.5 は最も強い候補者にも並んだ |
見張って使わせない道も、簡単ではありません。Canva は、AI の利用を取り締まるのはますます難しいとして、見張るのではなく、使うことを前提にして透明にする方を選びました(Canva、2025年6月11日)。カミナシの筆者は、監視のない自動採点は AI の利用と区別がつかず、監視を強めるほど候補者の体験が悪くなると書いています。
エンジニア組織での違い
採用の面接一般と違うのは、実務で AI を使うことと、AI なしで基礎を確かめたいことが、同じ職種の中でぶつかる点です。
実務の側では、Canva のフロントエンドとバックエンドのエンジニアのほぼ半数が、2025年6月の時点で AI のコーディング支援ツールを毎日使っていました。Amazon は、ソフトウェア開発エンジニアが Amazon Q・Cline・Kiro などの生成 AI でコードの作成・文書化・デバッグ・リファクタリング・テストをしているとして、評価を実際の働き方に合わせると書いています(Amazon、2026年1月22日)。
基礎の側では、Applied Intuition(自動車などを動かす AI のソフトウェアの会社。エンジニア 1,000 人超)が、エンジニアはコードの 1 行ずつに責任を持つので、AI と切り離してコードを理解しているかを知る必要があると書いています(Applied Intuition、2026年7月22日)。Canva の社内でも当初、CS の基礎を vibe-coding のセッションに置き換えるのかという懸念が出ました。
各社の決め方
選考の段ごとに、生成 AI を使ってよいかを並べます。
| 会社 | 持ち帰り課題 | 技術の評価(その場で書く) | 対話の面接 |
|---|---|---|---|
| Canva | − | 使うことを求める | − |
| Amazon | − | 対話型の AI アシスタントと取り組める | − |
| Zapier | − | AI とその場で働く様子を見る | − |
| GitLab | 調べるのに使ってよい。出典を示し、答えは自分の言葉で | 開示すれば歓迎 | AI の答えを読み上げない |
| Anthropic | 指示が無ければ使わない | 指示が無ければ使わない | 指示が無ければ使わない |
| Applied Intuition | − | 電話面接は使わない。オンサイトは使ってよい | − |
| OpenAI | 面接ごとに違う | 面接ごとに違う | − |
| カミナシ | 無くす方向 | 無くす方向(オンラインコーディングテスト) | 使っても使わなくてもよい(設計の面接に切り替える方向) |
応募書類は、GitLab は事実に沿えば使ってよい、Anthropic は下書きを自分で作り、そのあと磨くのに使ってよいとしています。GitLab は候補者向けのページで、選考の段ごとの使い方を公開しています(GitLab。公開日は書かれておらず、Internet Archive の最初の保存は 2025年8月8日です)。カミナシは「方向で考えています」の段階で、チームごとの採用のため内容を約束するものではないと断っています。
Anthropic2024年5月の保存 使わないで / 2025年7月 段ごとのガイダンス / 2026年1月 AI を許す課題
Zapier2025年5月 最低線 / 2026年3月 V2
Canva2025年6月 AI-Assisted Coding
GitLab2025年8月 候補者向けページの最初の保存 / 2026年4月〜5月 working group
Amazon2026年1月 AI アシスタントつきの技術評価
Applied Intuition2026年7月 オンサイトを作り直し
カミナシ2026年9月 切り替える方向
点は公開した月の真ん中に置いた。Anthropic の 1 つ目の点は、応募フォームの項目が始まった月ではなく、Internet Archive で確かめられる最も古い保存(2024年5月20日)の月に置いた。GitLab の帯は working group の開始日(2026年4月4日)から目標の終了日(2026年5月15日)まで。状態は Proposed のままで、試行の結果は公開されていない。
GitLab の候補者向けページは公開日が書かれていないので、Internet Archive の最初の保存の月に置いた。OpenAI の面接ガイドは公開日が書かれていないので入れていない。
出典: 本文「各社の決め方」
使わせる会社
Canva は 2025年6月11日、バックエンド・機械学習・フロントエンドのエンジニアの候補者に、技術面接で Copilot・Cursor・Claude などの AI ツールを使うことを求めると公表しました。アルゴリズムとデータ構造を見る面接に代えて AI-Assisted Coding という評価項目を、バックエンドとフロントエンドで試しています。問題は、1 回のプロンプトでは解けない、複雑で曖昧で現実に近いものに作り直しました。例は、混雑した空港の離着陸を管理する仕組みを作る問題です。候補者には事前に AI を使うことを伝え、練習を強く勧めています。
Amazon は 2026年1月22日、ソフトウェア開発エンジニアの技術評価を作り直し、本物のコーディング環境で対話型の AI アシスタントと取り組めるようにしたと公表しました。受けた候補者の 87% が、問題が応募する役割に関係していると答えています。何を評価の観点にしているかは公開されていません。
Zapier は 2025年5月21日、すべての新規採用者に AI fluency(生成 AI を仕事に使いこなす力)の最低線を求めると発表しました(Zapier、2025年5月21日)。応募・最初の面接・技能テスト・役員面接の 4 か所で測ります。2026年3月31日の改訂(V2)では、技能テストを作り直し、候補者が AI とその場で働く様子を見るようにしました(Zapier、2026年3月31日)。荒くても筋の通った理由づけと繰り返しが見える結果のほうが、過程の見えない仕上がった結果より良い信号だ、としています。技術職だけでなく全職種の採用の基準です。
GitLab は、技術の評価で AI を開示して使うことを歓迎しています。条件は、プロンプトと技術判断を説明できること、AI の生成物を自分のものとして出さないことです。さらに 2026年4月、エンジニアの技術面接を作り直す working group(部門をまたぐ期間限定の作業部会)をハンドブックに載せました(GitLab、2026年4月15日)。案は、事前の非同期の MR レビュー、Duo を使った約 1 時間の設計と実装、既存のコードでの約 1 時間の機能追加の 3 つです。候補者の手元の環境に頼らず、全員に同じ AI ツールを配るとしています。目標の終了日は 2026年5月15日でしたが、状態は 2026年10月19日の時点でも Proposed(提案中)のままで、試行の結果は公開されていません。
使わせない会社
Anthropic は、少なくとも 2024年5月から、応募フォームに応募の過程では AI アシスタントを使わないでほしいという項目を置いていました(Internet Archive の保存。出典の欄)。2025年7月10日付の候補者向けガイダンスでは、段ごとの決まりに変えています(Anthropic、2025年7月10日)。応募書類は最初の下書きを自分で作り、そのあと Claude で磨いてよい。持ち帰り課題は、指示が無い限り Claude なしで、本人の技能と強みを見たいからだとしています。ライブの面接は、許可を明示しない限り AI なしで、その場でどう考えるかを見たいからだとしています。方針を変えた理由は説明していません。
使わせないのは既定で、例外もあります。性能改善のチームの持ち帰り課題は、AI の利用を明示的に許しています(Anthropic、2026年1月21日)。この課題は 2024年はじめから 1,000 人を超える候補者が受け、数十人が入社しました。ただし新しいモデルが出るたびに作り直しが要り、作り手は 3 つの版を作っています。AI の利用を禁じる案も社内で出ましたが、作り手は採りませんでした。
段で分ける会社
Applied Intuition は 2026年7月22日、それまで AI なしのコーディングとホワイトボードだけだった面接を作り直したと公表しました。最初の技術の電話面接(45 分のコーディング)は AI なしのまま残しています。オンサイトは、45 分のシステム設計の質問のあと、好きな AI モデルとフレームワークで 2 時間かけて試作を作り、エンジニアの前でデモし、作ったもの・下した判断・やり直すなら変えるところを説明する形に変えました。
30 件を超える本物のオンサイトで試し、社内で最も懐疑的なシニアエンジニアに試行を任せています。15 人の面接官から集めた数十件の回答では、86% が候補者の力をよりよく読めると答え、85% が旧形式より良い、91% が判定により自信を持てると答えました。99% がこの形式を続けることを勧めています。どれも試行に入った面接官の受け止めで、採った人の入社後と照らした数字ではありません。
OpenAI の面接ガイドは、AI などのツールの扱いは面接ごとに違い、意図して許す形式と、AI なしで自力の問題解決を見る形式があるとしています(OpenAI)。
カミナシは、AI を使っても使わなくてもよい設計の面接に切り替える方向で、3 つのどれにも当てはまりません。
何を見る項目に変えたか
生成 AI を使う面接で見る項目を公開している 4 社の言葉を、面接官が確かめる観点ごとに並べます。OpenAI の面接ガイドも、問題への取り組み方・判断・理由の伝え方や、設計・コードの質・性能・テストを見ると書いていますが、AI を使う形式に限った項目ではないので入れていません。
| 観点 | Canva | GitLab(working group の案) | Zapier(V2) | Applied Intuition |
|---|---|---|---|---|
| 曖昧な要件を分解し、確かめる | 書いている | − | − | − |
| AI に何を任せるかを決める | 書いている | 書いている(AI への指示の出し方) | 書いている(どう指示し、出力に反論するか) | − |
| AI の出力の問題を見つけて直す | 書いている | 書いている(検証の規律) | 書いている(出荷前に誤りを見つける) | − |
| 判断の理由を説明する | − | 書いている(設計の理由づけ) | − | 書いている(判断と、やり直すなら変えるところ) |
| AI の限界を知っている | − | 書いている | 書いている(道具やモデルの限界を説明できないことを不可の例に挙げる) | − |
| AI と切り離した基礎 | − | − | − | 電話面接で見る |
Canva は CS の基礎を、AI と切り離した段ではなく、AI を使う新しい面接の中で見続けているとしています。
Canva の試行で最もうまくいった候補者は、AI の出力をそのまま受け入れず、要件を質問し、範囲のはっきりした小さな課題に AI を使い、生成されたコードを批判的に見直し、AI の解が誤ったときにデバッグしました。AI の経験が少ない候補者は、コードが書けないからではなく、AI を導く判断や、提案が最適でないと見抜く判断が足りずに苦戦することが多かったと書いています。
Zapier は V2 で、AI fluency の 4 つ目の要素として accountability(結果への責任)を足しました。何が良いかを先に決め、出力を批判的に評価し、出荷前に誤りを見つけ、結果に責任を持つ人を採る、としています。
「With AI, you can delegate the work, but not the accountability.」(AI に仕事は任せられても、責任は任せられない、の意)
GitLab の working group は、AI を自分の判断を増幅する道具として使う候補者を見つけ、判断をすべて道具に任せる候補者に印を付けられる面接にする、という原則を置いています。
国内の再設計の記録から借りられる仕組み
国内で、生成 AI を前提に技術選考を作り直した会社としての記録は、調べた範囲ではカミナシ(方向を考えている段階)しか見つかりませんでした。スマートバンク(2023年)とウェルスナビ(2024年)の記録は AI 以前の再設計で、AI の扱いには触れていません。それでも、面接官の判断をそろえる仕組みは、AI を使ってよい面接にもそのまま使えます。
| 仕組み | 会社 | 中身 |
|---|---|---|
| 見る力を 2 つに絞る | スマートバンク | 仕様を漏れなく正確に理解する力と、仕様をアプリケーションのモデルに落とし込む力 |
| 隠れた仕様を作らない | スマートバンク | 全仕様を書いたドキュメントを面接前に渡す。旧課題では、候補者にとっての課題(質問しないと分からない「間違い探し」の要素など)を加味して評価を調整することがあり、評価軸がぶれることがあった |
| 回答例と想定グレード | スマートバンク | 社内の複数名が受けた回答で例を作り、設問ごとに社内のグレードに照らした想定を決める |
| 模擬で受けてから面接官に | スマートバンク・ウェルスナビ | スマートバンクは担当者に必ず新しい課題を模擬で受けさせる。ウェルスナビは CTO が候補者役の模擬面接で面接官の進め方を評価した |
| 合否の理由を文章で残す | ウェルスナビ | 合格基準と、面接官が原因で候補者の良さを引き出せなかった点も書く |
| 候補者に具体的に聞く | ウェルスナビ | 総合満足度は半数以上が最高評価だったのに、具体的な項目ではほとんど付かなかった |
出典はスマートバンク、2023年6月9日とウェルスナビ、2024年5月8日です。
編集部の見立て
ここからは編集部の見立てと提案です。効果を確かめた記録はありません。
| 選考の段 | 編集部の勧め | 公開例 | 採らなかった案と理由 |
|---|---|---|---|
| 持ち帰り課題・オンラインコーディングテスト | 合否には使わない | カミナシ(無くす方向) | 合否に使う: 作り直しの手間が大きい(Anthropic は 3 つの版)。面接で確かめ直すなら候補者の時間が二重になる |
| 基礎の面接 | AI なしで 45 分を 1 回だけ残す | Applied Intuition(電話面接) | 全部の面接を AI なしにする: AI と書く実務と離れる(カミナシ) |
| 設計と実装の面接 | AI を使ってよい約 1 時間。出力の直し方と判断の理由を聞く | Canva・GitLab の案・Applied Intuition | − |
| 対話の面接 | AI の答えを読み上げないよう先に伝える | GitLab | − |
持ち帰り課題の出来で合否を決めず、AI を使ってよい約 1 時間の面接で、AI の出力の問題を見つけて直し、判断の理由を説明できるかを見ます。AI なしで確かめたい基礎は、45 分の面接 1 回にだけ残します。
根拠は 3 つです。
- 提出物だけでは本人が分からなくなったことを、カミナシの面接官が書いています。AI が従来の問題を解けることも、Canva・GitLab・Anthropic が書いています
- AI を使う面接で見る項目を公開した 4 社(Canva・GitLab・Zapier・Applied Intuition)は、どこも、出力の問題を見つけて直すことか、判断の理由の説明の少なくとも一方を書いています
- 基礎を AI なしで見る段を残す根拠もあります。Applied Intuition は電話面接を残し、新形式で面接官が評価しにくかった(確信度が低かった)コードの美しさと設計を、電話面接で見続けるつもりだと書いています
面接官の評価シート
ここからは編集部の提案です。数えるのは候補者 1 人の、AI を使ってよい面接 1 回です。4 つの観点のうち中心は、結論の 2 つ(出力の問題を見つけて直す・判断の理由)です。残る 2 つは、そこに至るまでを聞く問いです。4 つの観点に、答えられた・一部・答えられない、を 1 つずつ付けます。判定は点数の合計にせず、合否の理由を文章で残します(ウェルスナビの形)。
| 観点 | 面接の終わりに聞く問い | 元にした原典 |
|---|---|---|
| 要件を確かめたか | 作り始める前に、何を確かめましたか | Canva |
| AI に任せた範囲 | AI に任せたところと、任せなかったところはどこですか。任せなかったのはなぜですか | Canva・GitLab・Zapier |
| 出力の問題を見つけて直したか | AI の出力で、採らなかった・直したところはどこですか。どうやって気づきましたか | Canva・GitLab・Zapier |
| 判断の理由 | この設計を選んだ理由と、時間があれば変えるところを教えてください | GitLab・Applied Intuition |
3 つ目の観点の答えの例です(架空の答えです)。Canva の例と同じ、空港の離着陸を管理する問題を想定しています。
| 段階 | 答えの例 |
|---|---|
| 答えられた | AI が書いた割り当ての処理は、同じ時刻に 2 機が同じ滑走路を求めると両方を通していました。その場合のテストを足して、後の 1 機を待たせるように直しました |
| 一部 | 同じ時刻に 2 機が重なると危ないと思いましたが、試してはいません |
| 答えられない | AI の出力をそのまま使いました。動いたので問題ないと思います |
答えられないときは、面接官が画面のコードの 1 か所を指して、問いを 1 つ重ねます(この関数に同じ時刻の 2 機を渡すとどうなりますか)。それでも答えられなければ「答えられない」と記録します。ウェルスナビが書くとおり、面接官が原因で引き出せなかった可能性があるので、重ねた問いも記録に残します。
基礎の面接(45 分)にも、同じ形のシートを付けます(編集部の提案)。ここでいう基礎は、AI を使わずにコードを読み書きし、書いたコードを自分の言葉で説明できることです。Applied Intuition が知る必要があるとした、AI と切り離したコードの理解に当たります。この表は、候補者 1 人の基礎の面接 1 回につき 1 枚付けます。判定は同じ 3 段です。
| 観点 | 面接の終わりに聞く問い | 元にした原典 |
|---|---|---|
| 書いたコードを上から説明できるか | 書いたコードを、上から順に説明してください | Applied Intuition(AI と切り離した理解)・Anthropic(その場でどう考えるか) |
| 名前や関数の分け方を選んだ理由 | この名前と、関数の分け方を選んだ理由を教えてください | Applied Intuition(コードの美しさと設計) |
答えの例です(架空の答えです)。アクセスログの行から、利用者ごとのアクセス数を数える関数を書く問題を想定しています。
| 観点 | 段階 | 答えの例 |
|---|---|---|
| 説明 | 答えられた | 1 行ずつ読んで空白で分け、2 つ目を利用者として辞書の数を 1 足します。形の崩れた行は飛ばして、最後に多い順に並べています |
| 説明 | 一部 | 行を分けて辞書で数えています。崩れた行が来たときにどうなるかは、見てみないと分かりません |
| 説明 | 答えられない | 数える関数です。ここの処理は、こう書くものだと覚えていました |
| 名前と分け方 | 答えられた | 行を読む関数と数える関数を分けたのは、ログの形が変わっても数える側を直さずに済むからです。名前は、返すものが分かるように counts_by_user にしました |
| 名前と分け方 | 一部 | 長くなったので 2 つに分けました。どこで分けるのがよいかは、深く考えていません |
| 名前と分け方 | 答えられない | 特に理由はありません |
選考の組み方を変えられない面接官は、今の技術面接の最後の 10 分で、上の AI を使ってよい面接のシートの 3 つ目と 4 つ目の問いだけを聞き、3 段で記録することから始められます(編集部の提案)。
候補者に先に伝える文
Anthropic は、AI を使ってよいときはそう明示すると書き、例として、このコーディング課題では Claude を使ってよい、という文を挙げています。Canva は事前に伝えて練習を勧め、GitLab は AI をどう使っているかを話せるよう準備することを求めています。これらを元にした、案内の文例です(編集部の提案)。
| 面接 | 案内の文例 |
|---|---|
| 基礎の面接(45 分) | この面接では、生成 AI を使わずに解いてください。AI を使ってよい面接は、別にご案内します |
| 設計と実装の面接(約 1 時間) | この面接では、使い慣れた生成 AI のコーディングツールを使ってください。最初に、使うツールを教えてください。終わりに、AI に任せたところと直したところを伺います |
| 事前の案内 | AI のコーディングツールに慣れていない方は、面接の前に練習しておくことを勧めます |
手元のツールの差が気になるなら、GitLab の案のように、会社で用意したツールも選べるようにします。
面接官の時間
上の 2 つの面接にかかる面接官の時間です。面接の長さは Applied Intuition の電話面接(45 分)と GitLab の案(約 1 時間)から取り、記録を書く時間は 1 回 15 分と仮に置きました。1 人の候補者で 2 時間 15 分です。最初の 5 人(下の測り方の表で食い違いを数える 5 人)は面接官 2 人で同席して判定を別々に付けるので、1 人 4 時間 30 分です。どれも現場のエンジニアと EM の時間です。
| 1 か月の候補者 | ふだんの月 | 最初の 5 人を 2 人で同席する月 |
|---|---|---|
| 2 人 | 4 時間 30 分 | 9 時間 |
| 5 人 | 11 時間 15 分 | 22 時間 30 分 |
| 10 人 | 22 時間 30 分 | 33 時間 45 分(5 人が同席、5 人がふだん) |
問題を作る時間は入れていません。Applied Intuition は、旧形式の問題集は何年もかけて作ったもので、作り直しが要ったと書いています。同社は問題をたいてい実際に解かなければならなかったことから作り、面接が仕事の 1 日に似ているので面接官の訓練が早く済むとしています。
反対の根拠
- AI を作る会社が使わせない既定を選んでいる: Anthropic は持ち帰り課題とライブの面接を、許可しない限り AI なしにしています
- AI に強い課題は作り直しが続く: Anthropic の作り手は、元の課題は実務に似ていたから効き、新しい課題は新しい仕事を模すから効くと書き、現実らしさを手放したことを残念がっています。Canva も、今うまくいく形式も 6 か月後には手直しが要るかもしれないとしています
- 持ち帰り課題が効いた例もある: Anthropic は、AI を許す持ち帰り課題が入社後の成果の予測に役立ったと書いています。ただし新しいモデルが出るたびに作り直しています
- 使わせる形式で面接官が評価しにくいものがある: Applied Intuition の試行で、7 つの評価の信号のうち 6 つは面接官の確信度が 5 段階で 4.0〜4.7 でしたが、コードの美しさと設計だけは大きく低く、面接官が評価しにくかった(確信度が低かった)ものでした
- 良い AI の使い方の基準はまだ無い: カミナシの筆者は、AI を使う前提のライブコーディングは、良い AI の使い方の評価基準がまだどこも確立していないと書いています。対話の試験だけになると、思考の瞬発力の比重が大きくなり、面接で評価しきれない能力を見落とすおそれがある、とも書いています
- 作り直しは候補者の負担とのトレードオフ: スマートバンクは時間を長めにしたため、候補者の負担が増した面もあると書いています
うまくいっているかの測り方
数えるのは、上の評価シートと同じく、候補者 1 人の面接 1 回です(基礎の面接と AI を使ってよい面接を別々に数える)。合図は編集部が仮に置いた目安で、根拠の記録はありません。1 か月の候補者が 2 人なら、最初の 5 人がそろうまで 3 か月かかります。
| 見るもの | 誰が | 合図(仮の目安) | 元にした事例 |
|---|---|---|---|
| 面接官どうしの判定の食い違い | EM が最初の 5 人で数える(2 つのシートの 6 観点 × 5 人で 30 の判定。2 人の付けた段が違えば、答えられたと一部の違いでも 1 と数える) | 食い違いが 8 以上(およそ 4 分の 1)なら、問いと答えの例を書き直す | スマートバンク(評価の調整で軸がぶれたことがあった)・Applied Intuition(試行) |
| 判定への自信 | 面接官が面接ごとに 5 段階で付ける | 平均が 4 未満の観点は、問いを足す | Applied Intuition(4.0〜4.7) |
| 候補者の受け止め | 人事が面接のあとに、問題が仕事に関係していたかを具体的に聞く | 半数が関係していないと答えたら、問題を差し替える | Amazon(87%)・ウェルスナビ |
| 問題の寿命 | 面接官が、新しいモデルが出るたびに問題を解かせてみる | 1 回のプロンプトで解けたら作り直す | Canva・Anthropic |
| 入社後との照合 | EM が入社 3 か月後に、面接の判定と最初のレビューの指摘を並べる | 判定が「答えられた」の人に、出力をそのまま使った指摘が続いたら、問いを見直す | 数字の公開例なし |
入社後と数字で照らした結果は、どの社も公開していません。Canva は強い予測の信号が得られていると書くだけです。Anthropic は、AI を許す持ち帰り課題で飛び抜けて高い点だった 1 人が入社後すぐに成果を出したとして、課題は予測に役立ったと書いています。最も成果を出しているエンジニアの数人は学部を出てすぐの人で、この課題の出来を見て採ったとしています。
確かめられなかったこと
- Amazon の AI つき技術評価で、何を評価の観点にしているか、合否の基準、どの職位や地域に広げたか
- Canva の AI-Assisted Coding が試行から正式な選考になったか、他の職種へ広がったか
- GitLab の working group の試行(3 件以上の試行面接・振り返り・最終提言)が行われたか、結果
- Zapier のエンジニアの技能テストの中身(課題・時間・採点基準)
- どの社も、新しい面接で採った人の入社後の立ち上がりと面接の判定を照らした数字と、面接官ごとのばらつきの数字
出典
- Canva: Yes, You Can Use AI in Our Interviews. In fact, we insist、2025年6月11日
- Amazon: How 3 AI innovations are creating a better experience for candidates in Amazon's hiring process、2026年1月22日
- GitLab: Using AI in the interview process(公開日は書かれていない) / AI-Native Hiring Working Group、2026年4月15日
- Anthropic: How to collaborate with Claude during our hiring process、2025年7月10日 / Designing AI-resistant technical evaluations、2026年1月21日 / 応募フォーム(Internet Archive の 2024年5月20日の保存) / 応募フォーム(Internet Archive の 2025年3月26日の保存)
- Zapier: From AI-friendly to AI-first: How Zapier is transforming hiring and onboarding、2025年5月21日 / One year later: Raising the AI fluency bar for every Zapier hire、2026年3月31日
- Applied Intuition: Hiring Engineers for the Age of Agents、2026年7月22日
- OpenAI: Interview guide(公開日は書かれていない)
- カミナシ: AI時代のエンジニア選考・面接のパターン、2026年9月7日
- スマートバンク: 株式会社スマートバンクの技術面接を再設計するときに考えたこと 〜過去問を公開します〜、2023年6月9日
- ウェルスナビ: 技術面接の継続的改善について、2024年5月8日



