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新卒エンジニアの経験差をどう扱うか:未経験・文系の新卒がいる研修の分け方

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先に結論

  • 調べた 13 社の公開記録に出てくる入社後の研修の中の手当ては、全員を同じ線に揃える・クラスやコースに分ける・個別に足す・同期の組み方で支える、の 4 つに分けられる。複数を組み合わせる会社もある。
  • どの型で組むかは、新卒の人数と、1 人ずつメンターを付けられるかで選ぶのが編集部の提案。本文に選び方の表を置いた。
  • 編集部の提案は、研修会社に見積もりを頼む前に、配属のときに全員に要る線・入社時の差の知り方・遅れた人に足す時間を決めておくこと。本文に 5 つの問いと依頼文の雛形を置いた。

来年 4 月の新卒エンジニアの顔ぶれが見えてくると、プログラミングを書いたことのない文系の新卒と、学生のうちから開発をしてきた新卒が、同じ研修に入ることが分かります。研修会社に見積もりを頼む前に、この差を研修の中でどう扱うかを決めておく必要があります。

「未経験 文系 エンジニア 新卒 研修 カリキュラム」で検索すると(2026 年 10 月 20 日、編集部が確認)、上位は研修会社のコース販売と求人です。企業が自社の未経験の新卒向けの研修の組み方を公開したものを比べた記事は見つかりませんでした。

この記事は、翌年の新卒研修を組む研修担当に向けて、次の 3 つに答えます。

比べた会社の選び方を書いておきます。この媒体の研修資料の索引に載る 56 社のうち、欄に経験差に関わる語(未経験・文系・経験者・習熟度・クラス分けなど)があるのは 21 社です(2026 年 10 月 20 日、編集部が数えた)。このうち原典を開いて経験差の扱いが書かれていた 11 社と、検索で見つけたリクルート、企画の段階で挙げたエブリーの計 13 社を比べました。語の当たった残る 10 社は、この記事のために原典を読み直していないので、表に入れていません。

入社前の手当て(内定者研修・内定者インターン)は、内定から入社までに何を渡すかの記事で比べています。この記事は入社後の研修の中に絞り、入社前は 1 つの段にとどめます。

言葉を先に決めておきます。

語この記事での意味
未経験原典が「未経験」「開発経験が全くなかった」と書いている新卒。どこまでを未経験と呼ぶかは会社ごとに違い、原典の語のまま書く
経験者原典が「経験者」「インターン経験者」と書いている新卒。学生のうちの開発や、入社前のインターンで開発をしてきた人
習熟度別のクラス入社前後のテストの結果で、同じ科目を難しさの違う組に分けて教える形
メンター新卒 1 人ずつに付き、研修の相談に乗る先輩社員
生成 AI コーディングツール指示を書くとコードを書いてくれる道具。Claude Code・Cursor などの名前で出てくる
EMエンジニアリングマネージャー。エンジニアのチームを受け持ち、メンバーの育成や評価に関わる管理職
OJT現場の仕事をしながら、先輩がその場で教える育て方
1on1上司や先輩と 1 対 1 で定期的に話す面談

未経験の新卒と運営者の声

研修会社の SEプラスは、2026 年度入社の新人 IT エンジニア 108 名に、新人研修のカリキュラムの難易度を聞いています(2026 年 5 月 29 日〜6 月 4 日)。SEプラスは IT 研修を販売する会社で、層ごとの回答者数は示されていません。回答者が SEプラスの研修の受講者かどうかも書かれていません。

入社前の IT の経験苦労した(合計)問題なくついていけた
IT 未経験者69.8%(「とても苦労した」21.0%、「苦労した」48.8%)原典に数字なし
知識はあるが経験なし40.9%59.1%

原典は、59.1% を「未経験者の約2倍」と書いています。

未経験で入った新卒本人も、研修を振り返る記事を書いています。

誰の記録か書いていること
NE の 2024 年入社の新卒(経済学部卒、総合職で入社しエンジニアに配属)生成 AI が書いたコードが正しいかの判別がつかず、エラーが出たときに直し方が分からなかった。先輩に実装の意図を説明する形で乗り越えた。何をもってできるとするかは「人それぞれで指標が違い、判断しづらいのかなと思いました」
リクルートの 2026 年度の新卒(文系学部卒・エンジニア未経験)入社前のテストの結果でクラスが分けられ、「開発経験が全くなかった私でも自身のレベルに合った講座を受けることができました」
ラクーンの 2021 年入社の新卒(同期の中で唯一、情報系を専攻していない)研修では「メンターに午前と午後、振り返りをしてもらいました」

教える側の声もあります。レアゾンの 2025 年度の研修は新卒 2 年目が中心になって運営しました。ゲームの講座を担当した運営者は、「未経験者がついていけない、経験者が飽きてしまう、などの事象が発生しないようにするちょうど良い塩梅を探すために、何度も話し合いを重ねました」と話しています。日経の研修の運営者は、2023 年の登壇資料で、研修の課題の 1 つに「難易度の調整」を挙げ、その中身を「エンジニア(インターン経験者と未経験者)とビジネス」と書いています。

経験差が研修のつまずきになるところ

受講者の前提知識や経験の差に合わせた難易度の置き方は、エブリー・レアゾン・日経の 3 社の運営者が、研修の課題や苦労に挙げています。各社の記録を読むと、つまずきは「前提をどこに置いたか」と「期間をどう決めたか」に出ています。

前提の置き方。 エブリーは 2024 年度に初めてエンジニアの新卒研修を開き、「運営側で受講者の前提知識の基準を高く設定していた部分もあった」ため、前提知識を持っていないと理解が難しい内容が一部あったと振り返っています。受講者のアンケートにも「最低限必要な知識などを事前に共有することで、もう一段階踏み込んだ講義内容になると感じた」という声がありました。エブリーはその背景に、受講者の専門の外の領域も含めてすべての領域を学ぶ研修で、初めて扱う技術やツールが多く出てきたことを挙げています。

レアゾンの 2025 年度の運営者は、新卒が入社時点でどの程度の経験や知識を持っているのか「情報が全くない状態だった」ので、全員に有意義な設計を考えるのに苦労したと話しています。2024 年度の運営者も、学んできた分野もスキル感も人それぞれで、「簡単過ぎず難しすぎない難易度を見つけることに一番苦労しました」と話しています。

期間の決め方。 ラクーンのエンジニアの新卒研修は、毎年 5 月中旬ごろから夏が終わる頃までです。2021 年入社の新卒は、期間がはっきりしないのは「新卒者それぞれの進捗の違いや理解度に差があるから」と書いています。DeNA は 2022 年度の研修を 4 月 18 日〜7 月 5 日の三ヶ月弱とし、ゴールの状態を作るには「人によっては若干短いぐらいです」と書いています。日経の研修は 2023 年度で 5 日間・36 コマ、対象者は 5 人(年により変動)でした。運営者は同じ資料で、運営メンバーと講師の工数の確保も課題に挙げています。

エンジニア組織で経験差が大きくなる場面

エンジニアの研修では、入社の経路と、生成 AI コーディングツールの使い方で、差の出方が変わります。

場面原典にある例
総合職で入った新卒がエンジニアに配属されるNE の 2024 年入社の新卒は、入社から約 2 か月の研修のあとエンジニアに配属された。それまでのエンジニアの研修は「部署紹介の1時間のみ」だった。配属から 2 週間は教材で学び、先輩の講義も受けた
非エンジニア職と同じ研修に入るKDDIアイレットの採用グループの登壇レポートは、新卒には文系出身者や非エンジニア職(全体の約 20%)も含まれるとし、6 月末のハンズオン研修は職種を問わず全社一律で行う。日経の 2026 年度の研修には、ビジネス職で入った新卒も参加した
インターン経験者が混ざるディップの 26 卒は入社前の内定者インターン(10 月 1 日〜2 月 28 日)を経て入社した。インターンは任意で、欠席した人もキャッチアップできる仕組みを作っていると書く(仕組みの中身は書かれていない)
生成 AI コーディングツールで見かけの差が縮むTOKIUM の 26 卒(開発経験のある本人の体験記)は、全職種の合同研修で、開発未経験の同期が生成 AI を使って「経験者の自分と変わりないクオリティ」のアプリを作ったと書いている

TOKIUM のこの新卒は、そのあとのエンジニア職の研修では、Claude Code(生成 AI コーディングツールの一つ)にコードを書かせず、学習を補助する「ラーニングモード」を使う決まりでした。分からないことの質問や勉強の相談には使ってよく、この決まりで 1 か月かけて Todo アプリを作り、「未経験者組と経験者組とで、どちらも質の高い学びを得られた」と書いています。レアゾンのゲームの講座の運営者も、新卒が研修中に分からないことを AI に聞き、答えを鵜呑みにして解決できない場面に何度も出会ったと話しています。

各社の組み方

13 社の記録にある手当てを、4 つの型に分けました。型の分け方は編集部の整理です。 1 社が複数の型に入ります。

全員を同じ線に揃える

会社(年度)書いてあること
万葉(2022 年の記事。新卒に限らない新入社員の研修)エンジニアが入社すると、経験者かどうかによらず研修期間を設け、公開している教育カリキュラムを中心に進める。作った理由の 1 つは、OJT に頼ると新人ごとに経験する内容がバラバラになること
KDDIアイレット(2025)全員一律で IT の基礎を学ぶ「共通研修」のあと、配属先に合わせて開発コースとインフラコースに分かれる
NE(2025)職種を問わない約 1.5 か月の全体研修のあと、配属後 16 日間の研修の初日の最後に「基礎座学」を置き、目的を「明日からの研修で躓きそうな部分を取り除く」とした

クラスやコースに分ける

会社(年度)何で分けたか書いてあること
リクルート(2025・2026)入社前のテストの結果約 4 か月の研修のうちエンジニアリングの研修で、入社前のスキルアセスメントテストの結果を踏まえ、習熟度・理解度に合わせたクラス分けが行われた。各研修では「競争ではない」という方針が共有された(2026 年度)
KDDIアイレット(2025)配属先の職種開発コースとインフラコース。経験の多少で分けたものではない
レアゾン(2025)受講者が選ぶ領域前年は合同だった Web とゲームの講座を分け、13 営業日を充てた。研修の PM は「自ら選んだ領域で、より専門的な内容を学び」と説明している。運営者は「各経験者向けにしたことで、一段階レベルが上がったコンテンツを提供できた」と話している。振り分けたのは受講者が選んだ領域で、経験の多少ではない(PM の説明)

リクルートの記録はどちらも新卒本人の記事で、テストの中身・クラスの数・分ける基準・クラスごとの人数は公開されていません。経験の多少でクラスを分けたと書いた会社は、13 社ではリクルートだけでした。

個別に足す

会社(年度)書いてあること
ラクーン(2016)「個別指導+スタンプラリー形式の研修」。学ぶ項目をリストにし、メンターが終了印を押し、全部の印を集めたら修了。「できる部分はさっさと、余り知らない部分はじっくり取り組むことができます」。進捗・質問・体調まで記録を残し、研修後のフォローと研修の見直しに使う
ラクーン(2021 年入社の新卒の記事)新卒ごとの理解度に合うようにメンターが研修をカスタムする。研修はプログラミング経験があることを前提に進め、座学はない
GMOペパボ(2018)新卒一括の研修をやめ、トレーナー役の先輩と一人ひとりに合わせた研修メニューを作る。期間は約 3 か月で組み、早く終えることも延ばすことも、理解度に応じてメニューを変えることもできる。メニューは社内に公開し、新卒どうしも互いの取り組みを見られる
NE(2025)研修の前に、新卒と先輩の両方に「研修内容が人によって異なる場合があります」と伝えた。新卒 1 人に専属のメンターを 1 人付けた
KDDIアイレット(2024)構築演習で、用意した課題に加えて自由度の高いオプション項目や追加課題に挑戦する人もいた
ギフティ(2024。24 卒のエンジニアの記事に載った同期の感想)課題ができるか不安だったが、メンターが柔軟に対応したので大きくつまずかずに進められた。この同期が未経験かどうかは書かれていない

ペパボが個別のメニューに変えた理由は経験差ではなく、通年採用に移り、1 人入社するたびに同じ研修を運用するのは「人的リソースの観点から困難になる」ことでした。NE の記事には、2 人の研修の中身が実際にどう違ったかは書かれていません。

同期の組み方で支える

会社(年度)書いてあること
TOKIUM(2026。新卒本人の体験記)開発は個人で行い、3〜4 人のチーム(そのうち 1 人は経験者)で研修を進めた。経験者は開発が早く終わる分、同期を支える場面が多く、本人は理解度チェックの模擬問題を作って同期に出題した
ディップ(2026)環境構築(開発に使う道具を自分のパソコンに入れる作業)のペアハンズオン(2 人 1 組で手を動かす演習)で、フロントエンド(画面の側)志望者をバックエンド(サーバーの側)志望者と組ませ、詰まったらいつでも聞けるようにした
リクルート(2026。新卒本人の記事)各自が Slack(社内のチャットの道具)のオープンチャンネルで作業状況を発信し、ハドルミーティング(Slack の中で始める音声の通話)を開くことで、同期どうしが助け合える環境ができていた
DeNA(2024)グループワークのある演習で、チームを積極的にシャッフルした。目的は、情報を共有しあえる関係を素早く作る経験

TOKIUM のチームを誰がどの基準で組んだかは、会社側の記事が見つからず分かりません。DeNA のシャッフルは経験差の手当てとして書かれたものではありません。

入社前に置いた会社

エブリーは 2024 年度の反省(前提知識の不足による理解の困難さ、各種ツールの使い方の事前準備の不足)を受けて、入社時の前提知識の不足やばらつきの解消を検討し、内定者研修という形で手当てしました。ディップは内定者インターンを経た新卒に 2 週間の技術研修(4 月 14 日〜24 日)を行い、NE は 26 卒の希望する内定者に習熟度アンケートと 1on1 で学んできたことを聞いてから、メンターを選んでいます。

下の図は、4 社が経験差への手当てを入社前と入社後のどこに置いたかを並べたものです。

経験差への手当てを、入社前と入社後のどこに置いたか

NE の 16 日間が暦の日か営業日かは書かれていないので、帯の長さは目安。リクルートの研修の始まりの日とテストの時期は書かれていない。

ラクーンの全体研修の終わりは、エンジニアの研修が始まる 5 月中旬に置いた。

図の NE は 25 卒。本文の「入社前に置いた会社」にある NE の 26 卒の内定者フォローアップは「5月頃から順次」始めたとあるだけで、終わりと入社後の研修の日程が書かれていない。エブリーの内定者研修も、2 週間に 1 回・各回 2 時間とあるだけで、始まりと終わりの月が書かれていない。どちらも帯に置けないので図に入れていない。

出典: 本文「入社前に置いた会社」「各社の組み方」

研修の中の組み方を先に決めるという見立て

ここからは編集部の見立てです。

経験差は、入社前にどこまで埋めるかより先に、入社後の研修で全員に要る線と、揃える・分ける・足すのどれで組むかを決めるほうが、研修会社への依頼に効くと編集部は見ています。

理由は 2 つあります。1 つは、入社前の学習は内定者の同意が前提で(内定から入社までの記事を参照)、全員の差は埋まりにくいことです。ディップは内定者インターンを任意にし、欠席した人のための仕組みを別に作っています。もう 1 つは、運営者がつまずいたのが「どこに線を置くか」だったことです。エブリーは前提の基準を高く置きすぎ、レアゾンは入社時の経験が分からないまま設計しました。線と差の知り方が決まっていないと、研修会社も難易度を決められません。

反対の根拠もあります。

入社前に手当てをする会社でも、入社後に全員の線をどこに置くかは決める必要があります。入社前と入社後は、どちらかを選ぶものではなく、入社後の線を先に決め、そこへ届かない分を入社前と研修の中のどちらで足すかを決める順番だと編集部は考えます。

埋まったかの測り方

研修の前後で経験差が埋まったかを、未経験者と経験者を分けた数字で測って公開した会社は、13 社では見つかりませんでした。近い材料は次のとおりです。

会社書いてあること
ラクーン(2016)学ぶ項目のリストと、メンターが押す終了印
NE(2025)1 年後に「任されたタスクを自立して進められる」状態と「進められない」状態を言葉にした(例: 「どこを見たらいいのか分からない、直すための最初の一歩が踏み出せないはNG」)
TOKIUM(2026。新卒本人の体験記)研修に 6 段階のマイルストーンがあり、段階ごとにメンターと口頭で理解度チェックをする。答えられないと再チェックを受ける
ディップ(2026)研修中に「わからないことリスト」を作り、翌日のメンターとの 1on1 で解消する
KDDIアイレット(2026。採用グループの登壇レポート)25・26 卒の 1 年目 104 名全員が、初年度に Google Cloud(Google のクラウド)の資格を取った。原典は未経験者や非エンジニア職も含めた 104 名全員と書いている。未経験者が何人いたかは書かれていない

編集部の提案です。 数え方は「新卒 1 人が研修の 1 つの区切り(課題やマイルストーン)を終えるごとに 1 件」とし、メンターがその区切りの理解を口頭で確かめて、次の 3 段で記録します。

段答えの例(「この画面で保存ボタンを押すと何が起きるか」と聞いたとき)次にすること
自分で説明できた「入力がサーバーに送られ、検証を通ればデータベースに保存され、一覧の画面に戻る」次の区切りへ進む
ヒントで説明できた「保存されると思う」と答え、「どこに送られる?」と聞くと続きを説明できた次へ進み、同じ所を次の区切りでもう一度聞く
説明できない「動いたので分からない」補講を 1 回足す(下の表)。同じ区切りでもう一度確かめる

同じ新卒が 2 つの区切り続けて「説明できない」になったら、メンターが研修担当に伝え、研修担当がその人の期間を延ばすかを決めます。2 回は根拠となる記録の無い仮の目安です。NE の新卒が書いた「指標が違い、判断しづらい」を避けるため、問いはメンターごとに変えず、区切りごとに先に書いておきます。

足す時間は、ラクーンの「午前と午後」の振り返りを土台にし、1 回 15 分と仮に置いて、メンターの時間に換算しました。1 回 15 分は根拠となる記録の無い仮の目安です。

この表は、メンター 1 人が未経験の新卒 1 人を受け持つときの時間です。2 人を受け持てば倍になります。

研修の長さ同じくらいの長さの研修(記事の例)メンター 1 人の合計の時間(1 日 30 分)
2 週間(10 営業日)ディップの技術研修(2 週間)5 時間
1 か月(20 営業日)TOKIUM のエンジニア職の研修(1 か月)10 時間
3 か月(60 営業日)DeNA(三ヶ月弱)・GMOペパボ(約 3 か月)30 時間
自社の研修の長さ(書き込む)営業日 × 30 分

1 年目が終わったら、メンターに実際にかかった時間を聞いて、翌年の見積もりを書き換えてください。

揃える・レベル別に分ける・個別に足すの選び方

編集部の提案です。 4 つの型は、新卒の人数と、1 人ずつメンターを付けられるかで選びます。「記事の中の例」は、上の「各社の組み方」でその型の表に入れた会社です。「向いている条件」の 10 人と 3〜4 人の組は、根拠となる記録の無い仮の目安です(3〜4 人は TOKIUM のチームの人数から取りました)。

型向いている条件(編集部の提案)記事の中の例選んだら引き受けること
全員を同じ線に揃える配属のときに全員に要る基礎の部分。新卒が少なく 1 つの組で足り、1 人ずつメンターを付けられないとき万葉・KDDIアイレット・NE線を高く置くと未経験者がつまずく(エブリー 2024)。未経験者がついていけない・経験者が飽きる、の両方を避ける線を探す手間(レアゾン 2025)
クラスやコースに分ける(レベル別)新卒が 2 つ以上の組を作れる人数(仮に 10 人以上)で、組ごとに講師を置けるときリクルート・KDDIアイレット・レアゾン分ける基準と、クラスごとの講師の工数(どちらも公開例なし)
個別に足す人数は少なくても、遅れた人に 1 人ずつメンターを付けられるときラクーン・GMOペパボ・NE・KDDIアイレット・ギフティメンターの時間(上の表)と、終わる日が人ごとにずれること
同期の組み方で支える経験者と未経験者が同じ期にいて、3〜4 人の組を作れるときTOKIUM・ディップ・リクルート・DeNA経験者の時間を、同期を支える側に使うこと(TOKIUM)

下の依頼文の雛形と同じ 5 人(うち未経験 2 人)なら、組を 2 つ作るには少ないので、講義は全員で揃え、演習の課題を 2 段の難しさにし、未経験の 2 人にはメンターの振り返りを足し、演習のペアは経験者と組ませる、という組み合わせを編集部は勧めます。

見積もりを頼む前に決める 5 つの問い

編集部の提案です。 各社の記録を、研修会社に頼む前に社内で答えておく問いに変えました。右から 2 列目が、その問いのもとになった原典です。

問い決めないと起きること(原典)自社の答え
1. 配属のときに全員に要る線はどこか(何ができればよいか)前提の基準を高く置きすぎ、理解が難しい内容が出た(エブリー 2024)。NE は 1 年後に「任されたタスクを自立して進められる」状態と、そうでない状態を言葉にしてから研修を組んだ
2. 入社時の差をどう知るか(テスト・アンケート・面談)経験や知識の情報が全く無いまま設計し、苦労した(レアゾン 2025)。リクルートは入社前のテスト、NE は 26 卒の希望者に習熟度アンケートと 1on1
3. 揃える・分ける・個別に足す・同期の組み方のどれで組むか(上の選び方の表で、新卒の人数とメンターの数から選ぶ)経験の違う新卒を同じ講義に入れ、難易度の調整を課題や苦労に挙げた(日経 2023、レアゾン 2024・2025)
4. 遅れた人と早く終わった人に、何を・誰の時間で足すか終わりを新卒ごとに変え(期間が曖昧)、メンターが研修をカスタムする(ラクーン)。自由度の高いオプション項目や追加課題(KDDIアイレット)、早く終えた経験者が同期を支える(TOKIUM)
5. 生成 AI コーディングツールを、どの段で使わせるか使わせると未経験者の成果物も経験者と変わらなくなり(TOKIUM)、答えを鵜呑みにして詰まる(レアゾン 2025)

答えが決まったら、研修会社への依頼に次の形で書きます。数字や語は例です。

依頼に書く項目書き方の例
新卒の顔ぶれ新卒エンジニア 5 名。うちプログラミング未経験 2 名(文系学部卒)、学生のうちに開発の経験がある 3 名
配属のときに全員に要る線先輩がそばについていなくても、今あるプログラムを読んで小さな直しを書き、先輩の確認に回せる
入社時の差の知り方入社前の 3 月に、社内で作った 20 問のテストと 30 分の面談を行う。結果を研修会社に渡す
組み方共通の講義は全員で受け、演習の課題は 2 段の難しさを用意してほしい
足す時間未経験の 2 名には、メンターの振り返りを 1 日 2 回付ける(社内で持つ)。研修会社には、講義の録画か資料の事前配布を頼みたい
生成 AI コーディングツール最初の 1 か月の演習では、生成 AI にコードを書かせない。質問と調べものには使ってよい
見積もりでほしいもの2 段の課題を作る分の費用を分けて出してほしい

この表は、社内で EM やメンターと研修の組み方を話すときの議題としても使えます。

研修会社とのすり合わせを書いた会社もあります。KDDIアイレットは、配属先の事業部長へのヒアリングや先輩新卒の声をもとに、研修会社と「何度も擦り合わせして設計しました」と書いています(2024 年度)。ただし、経験差をどう伝えたかは書かれていません。

各社が経験差の測り方や、クラス分けの基準を公開したら、この記事を更新します。

出典

確かめられなかったこと: 経験差が埋まったかを数字で測った記録、リクルートのテストの中身・クラスの数・分ける基準、日経が難易度をどう調整したか、ディップの欠席者のキャッチアップの仕組みの中身、TOKIUM のチームを誰がどの基準で組んだか、補講を制度として書いた記録、レベル別に分けたときの講師や運営の工数と費用、研修会社に経験差をどう伝えたか、未経験や文系の新卒が各社に何人いたか、SEプラスの調査の層ごとの回答者数、索引で語の当たった 21 社のうち原典を読み直していない 10 社の中身。

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