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内定から入社までに、エンジニア内定者へ何を渡すか:内定者研修・インターン・メンターの設計を各社の公開例で比べる

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先に結論

  • 調べた 10 社の渡し方は、講義 4 社、メンターの伴走 1 社、カリキュラムや実務の内定者インターン 4 社、数日の体験と交流 1 社の 4 つの形に分かれた。週あたりの頻度の分かる会社では、内定者の時間は週 30 分程度(Speee)から週 3 日(ハコベル)まで開く。
  • 参加を任意と明記したのはエブリーの 25 卒向けだけ。内定者インターンの 4 社も、4 日間の体験をインターンシップと呼ぶアライドアーキテクツも、有給かを書いていない。東京都の手引きは、内定者が自由意思で同意した場合に限り研修等への参加の義務が生じ、同意しなかった人を不利益に扱ってはならないとする裁判例を載せている。
  • 編集部の提案は、目的を入社後の研修の前提知識をそろえることに絞り、選考や評価の延長にしないこと。週 1 時間までの講義かメンターの伴走から始め、案内文に「任意」「不参加でも不利益は無い」「途中でやめてよい」を書く。本文に設計シートと案内文の雛形を置いた。

10 月の内定式が終わると、来年 4 月に入るエンジニアの内定者と会社の間には、半年ほどの空白ができます。この期間に何を渡すか(渡さないか)を、受け入れる側は今決めることになります。

「内定者 エンジニア 研修」で検索すると(2026 年 10 月 18 日、編集部が確認)、上位は内定者研修の賃金や強制の可否を扱う労務の Q&A と、研修会社のサービス紹介が中心です。エンジニア組織が内定期間に何をしたかを、受け入れる側から比べたものは上位 10 件にありませんでした。

この記事は、技術が分からないままエンジニア内定者のフォローを任された人事に向けて、次の 3 つに答えます。

比べた会社の選び方を書いておきます。この媒体の研修資料の索引に載る 56 社のうち、「内定者」の記述があるのは 7 社です(2026 年 10 月 18 日、編集部が数えた)。エブリー・NE・Speee・ウィルゲート・KDDIアイレット・ディップ・バイセルです。これに、企画の段階で Wantedly で見つけた 2 社(アライドアーキテクツ・ファンコミュニケーションズ)と、Zenn の記事検索(「内定者インターン」、新しい順の 1 ページ目)で見つけた 1 社(ハコベル)を足した 10 社について、原典をすべて開いて読みました。公開記録のある会社に限られ、公開していない会社のやり方はこの比較に入っていません。

言葉を先に決めておきます。

語この記事での意味
内定者研修入社前の内定者に向けた講義や課題。この記事ではエンジニアの技術の講義を指す
内定者インターン入社前の内定者が、会社のカリキュラムや実際の開発チームで手を動かす形。働き方や賃金の扱いは会社ごとに違い、公開されていないことが多い
メンター内定者 1 人か数人の相談相手になり、課題を出したり質問に答えたりする社員
ターミナル、Git / GitHubターミナルは、文字でコマンドを打ってコンピュータを操作する画面。Git はソースコードの変更の履歴を残す道具で、GitHub はそれを複数人で共有する Web のサービス
コードレビュー、PRPR(プルリクエスト)は、書いたコードを取り込んでもらうための依頼。コードレビューは、その中身を他のエンジニアが読んで指摘すること
業務命令会社が働く人に仕事として指示すること。東京都の手引きは、内定者が研修やアルバイトなどの形で業務命令に従った場合は賃金が支払われる、と書く
オワハラ内定と引き換えに、学生の意思に反して他社の就職活動を終わらせようとする行為。厚生労働省のリーフレットの言葉

内定者はどう受け取っているか

まず、内定者の側の声を並べます。

誰の声か書かれていること
エブリーの 25 卒の内定者(研修を始める前)「学習機会があれば入社前でも積極的に利用していきたい」という意見が内定者側から上がっていた。エブリーはこれを、内定者研修を始めたいちばん大きい理由に挙げている
エブリーの 25 卒・26 卒の受講者(アンケート)25 卒は「以前勉強してから時間が経っていたので、いい復習になりました」、26 卒は「基本的なことが丁寧に解説されていて分かりやすかった」。一方で、25 卒は「開催時期に対してスケジュールがタイトに感じられた」(2 回目の記事が書く 1 回目の声)、26 卒は「内容のボリュームに対して時間がタイトに感じられた」「実例や背景をより詳細に説明してほしい」
NE の 26 卒の内定者(顔合わせ会のアンケート)内定者同士のコミュニケーションがもっとあると良かった、という意見があった
アライドアーキテクツの 26 卒の内定者(地方在住)上京や初めての一人暮らしに不安があったが、住まいを調べて発表する企画のあと、先輩から家賃相場などを聞いて「新生活への不安が軽減されました」
ハコベルの 27 卒の内定者(週 3 日の内定者インターン)一番の壁は、生成 AI を使った開発でチームの開発の速さと量に追いつくことだった。木曜の作業が、月曜には優先度が入れ替わっていることがあった
バイセルの 25 卒の内定者インターン生最初の PR を出しても、コードが取り込まれる(マージ)までに 1 か月以上かかり、大量のレビューコメントが付いていた

職種を問わない調査もあります。ALL DIFFERENT とラーニングイノベーション総合研究所が 2025 年度の新入社員 3,933 人に聞いた調査(2025 年 9 月 1 日公表)では、内定期間に受けたフォローは「入社予定の会社での懇親会」が 4 年連続で 1 位、「入社予定の会社で研修」が 2 位でした。受けたフォローを「最も良かった」と答えた割合は、それぞれを受けた人のうち、懇親会が 73.9%、アルバイト / インターンとしての勤務が 67.6%、研修が 57.0%です。

ただし同じ調査は、フォローの種類ごとに入社時の心境を比べて「回答に大きな差は見られないものの」と書き、続けて、懇親会を経験した新入社員は他の項目よりも「不安」の割合が高く、研修を経験した新入社員は他の項目よりも「期待」の割合が高かったとしています。調査の対象はエンジニアに限りません。調査した ALL DIFFERENT は、2025 年 10 月 1 日から内定者向けの育成支援サービスを始めると、同じ月に告知しています。

内定期間の設計がこじれるところ

各社が書いている目的を並べると、1 つの施策に違う目的が重なっていることが分かります。

会社原典に書かれた目的
エブリー内定者の学習意欲に応えること。入社後の研修を通じてスムーズに開発組織に加われるよう、基礎知識を学べる機会を提供すること
NE内定者が入社後スムーズに業務に入れるようになること。内定者の利点は不安ができるだけ少ない状態で入社する・必要なスキルを事前に身につける・「はじめまして」の人ばかりにならない。NE の利点は入社後すぐに戦力になってもらう
Speee入社後にスムーズに業務に取り組むための基礎を身につけること
バイセル「配属先で業務をするために必要最低限の技術や仕事の進め方を学ぶこと」(カリキュラムの大目標)
ディップ生成 AI を使った開発の進め方(AIDLC)を実践し習得すること
KDDIアイレット内定者期間に最新技術のデモを見せ、クラウドエンジニアとしてのキャリアイメージを育てること

調査の側の背景も書いておきます。ALL DIFFERENT の調査のリリースは、内定承諾後も就職活動を続ける学生が一定数いて、承諾後に辞退するケースもあることを、内定者フォローの背景に挙げています。厚生労働省と都道府県労働局のリーフレットは、オワハラに当たり得る例として「他社の就活が物理的にできないよう、研修等への参加を求めること」を挙げています。

ここからは編集部の見立てです。

上の目的は、大きく 3 つに分かれます。入社後の研修の前提知識を前倒しでそろえる(エブリー)、入社後の業務の基礎や実務を前倒しで始める(Speee の「業務に取り組むための基礎」・NE の「スムーズに業務に」「すぐに戦力」・バイセル)、入社までのつながりを保つ(NE の「はじめまして」・調査の背景にある辞退)。どれも筋の通った目的ですが、1 つの施策に 3 つを載せると、参加の度合いや課題の出来を、内定者の評価や辞退のおそれの見張りに使いたくなります。そうなると、任意のはずの研修が断りにくいものになり、上のリーフレットの例に近づきます。

エンジニア組織ではどう違うのか

エブリーが内定者研修を始めた 2 つ目の理由は、入社後の新卒研修で出た受講者の声でした。2024 年度の新卒研修では社内で実際に使っている言語や道具の組み合わせ(技術スタック)に触れてもらったため、次のような声があったといいます。

これを受けてエブリーは、受講者の知識のベースラインを揃えておくことが重要だと考えた、と書いています。25 卒向けの最初のテーマは「ターミナルおよび Git/GitHub の基礎」でした。

エンジニアの内定者は、入社前の経験の差が大きくなります。原典に書かれている例を挙げます。

ハコベルの内定者は、技術的な疑問は生成 AI で解けても、仕様がなぜそうなっているか、チームがどこに向かっているかは、コードや生成 AI からは読み取れなかったと書いています。

ここからは編集部の見立てです。道具の使い方を入社後の研修で 1 から教えると、経験のある人には退屈で、無い人には速すぎます。エブリーの内定者研修は、その差を入社前に縮める置き方です。一方で、実務に入れる形は、ハコベルの内定者が書いた、仕様がなぜそうなっているかのような事業や仕様の知識(ドメインの知識)のように、入社前には渡しにくいものまで内定者に求めることになります。

各社の設計

10 社を、形・期間・頻度・担い手・任意かどうかで並べます。4 つの形の分け方は編集部の整理です。 原典に書かれていない欄は「−」にし、表の下にまとめて書きます。

形会社(年度)期間頻度・1 回の長さ担い手任意かどうか内定者の人数
講義エブリー(25 卒向け)入社まで(執筆時点で第 6 回まで)2 週間に 1 回、各回 2 時間が目安。オンラインで録画を残す新卒 3 年目までの若手が中心学業を優先してもらうため任意−
講義エブリー(26 卒向け)約半年。2025 年内に全講義を終えた2 週間に 1 回程度、各回 90 分が目安。オンラインで録画を残す4 月に入社した新卒が中心となり資料作りと講義。社内のレビューを経る−−
講義Speee(2025 年 4 月入社予定の内定者)内定から入社まで時間があまりない内定者向けの研修は週 30 分程度この研修はクリアコードの須藤氏が説明− (学業とのバランスをとると書く)−
講義ウィルゲート(24 新卒の内定者向けの新卒研修)−全 12 項目講師 11 名。研修は既存の社員も受けられた−−
講義・デモKDDIアイレット(非エンジニア職を含む新卒)10 月からの内定者期間−Partner Top Engineer(Google Cloud が認定するエンジニア)−−
メンターの伴走NE(26 卒)5 月頃から順次。約 1 年定期的にオンラインで面談エンジニア社員。1 人で内定者は最大 2 人希望する内定者に11 人
内定者インターン(カリキュラムから配属)バイセル(26 卒)カリキュラムが 2〜3 か月。その後は実際のチームへ期間中はフルリモート。同期と毎日 18 時から 30 分の夕会メンターがコードレビューと技術支援− (内定者本人の記事は、学業との両立もしやすい環境と書く)−
内定者インターン(チーム開発と個人開発)ディップ(26 卒)12 月から 3 か月毎日の振り返りの日報に社員がフィードバック。交流会は毎月内定者 1 人に若手エンジニアのメンター 1 人。社外への技術の発信を担う社員(DevRel)が並走し、CTO に考えをぶつけて意見をもらう−エンジニア 7 名とプロダクト企画職 1 名
内定者インターン(実務)ファンコミュニケーションズ(26 年入社)5 月から(終わりの時期は書かれていない)週 2 回のリモート勤務と月 1 回の出社、9:30〜18:00−−−
内定者インターン(実務)ハコベル(27 卒)2026 年 5 月から 9 月末週 3 日配車計画システムを開発するチーム−−
数日の体験と交流アライドアーキテクツ(26 卒)4 日間−エンジニア社員・先輩社員−−

「−」は、その欄のことが原典に書かれていないという意味です。書かれていないことは、やっていないことを意味しません。特に、参加が任意かどうかを明記したのはエブリーの 25 卒向けだけで、NE は「希望する内定者」、Speee は学業とのバランスに、バイセルは内定者本人の記事が学業との両立に触れています。内定者インターンの 4 社(バイセル・ディップ・ファンコミュニケーションズ・ハコベル)も、4 日間の体験をインターンシップと呼ぶアライドアーキテクツも、有給かどうか、雇用契約を結ぶかを書いていません。 1 年分の内定者の人数が分かるのは NE とディップだけです。

ファンコミュニケーションズ・ハコベル・バイセル(26 卒)は内定者本人が振り返った記事で、アライドアーキテクツは採用担当のアカウントに内定者本人が書いたレポートです。会社の制度としての決まりではなく、その人の参加の仕方として読んでください。

形ごとの中身を補います。

交流の場を別に置いた会社もあります。NE は 10 月中旬に内定者同士の顔合わせ会を開き、前年にフォローアップを受けた先輩社員が、当時やったことや後回しでよいことを話しました。事前に質問を集めて、内定者が何に不安を持っているかを推し量っています。ディップは内定者インターンの間、新卒 1 年目から部課長・CTO まで参加する交流会を毎月開きました。

内定者の週あたりの時間

形によって、内定者が使う時間は大きく違います。原典の頻度を、内定者の週あたりの時間に換算します。換算は、2 週間に 1 回の講義は 2 で割る、1 日の時間が書かれていない会社は日数だけにする、で行いました。講義の時間だけで、予習や課題の時間は入れていません。

会社原典の頻度内定者の週あたりの時間(換算)
Speee(時間があまりない内定者向け)週 30 分程度約 30 分
エブリー(26 卒向け)2 週間に 1 回、90 分約 45 分
エブリー(25 卒向け)2 週間に 1 回、2 時間約 1 時間(ほかに個人開発)
ファンコミュニケーションズ週 2 回のリモート勤務、9:30〜18:002 日(休憩を含めて 1 日 8.5 時間の枠)。ほかに月 1 回の出社
ハコベル週 3 日3 日(1 日の時間は書かれていない)

頻度の分かる講義(エブリー・Speee)は週 1 時間以下に収まり、頻度の分かる実務の内定者インターン(ファンコミュニケーションズ・ハコベル)は週 2〜3 日になります。ディップ(毎日の日報)とバイセル(毎日の夕会)は、週あたりの時間が分からないので表に入れていません。卒業研究や授業がある学生にとって、この差は小さくないと編集部は見ています。

強制しない線

参加を求めるときの線は、公的な資料に書かれています。東京都の手引きは学生に向けた手引きで、内定者が会社から研修への参加を求められたときに、どう説明されているかが分かります。

線原典に書かれていること出典
参加は内定者の同意が前提学生は本来学業に専念すべき立場にあるため、「内定者が自由意思で同意した場合に限り、業務命令に応じて研修等に参加する義務が生じます」東京都『就活必携・労働法』令和 8 年 2 月版
同意しない人を不利に扱わない。取りやめの申し出は免除する宣伝会議事件(東京地裁 平成 17 年 1 月 28 日判決)は、入社日前の研修等に同意しなかった内定者に「内定取消しはもちろん、不利益な取扱いをすることは許されず」、いったん同意した内定者が学業への支障などを理由に取りやめを申し出たら、免除すべき信義則上の義務(相手の信頼に背かないよう誠実に振る舞う義務)を負う、とした同手引きの裁判例チェック
業務として参加させれば賃金と労災内定中に研修やアルバイトなどの形で業務命令に従った場合は賃金が支払われ、その間のケガには労災保険が適用される同手引き
義務づけた研修は労働時間参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間は、労働時間として扱わなければならない厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』(2017 年 1 月 20 日)
他社の就活を妨げない「他社の就活が物理的にできないよう、研修等への参加を求めること」はオワハラに当たり得る厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット

このガイドラインが、入社前の内定者にそのまま当てはまるかは、ガイドラインにも東京都の手引きにも直接は書かれていません。この記事は、業務命令に従えば賃金が支払われるという東京都の手引きの記載までにとどめ、それ以上の法的な判断はしません。自社の内定者インターンを有給にするか、雇用契約をどう結ぶかは、社会保険労務士や都道府県の労働局に確かめてください。宣伝会議事件の判決の原文は、編集部では確かめていません(東京都の手引きの引用で確かめた)。

目的を「入社後の研修の前提知識」に絞るという見立て

ここからは編集部の見立てです。

内定期間に渡すものの目的は、入社後の研修の前提知識をそろえることに絞るのがよいと考えます。根拠は 2 つです。1 つは、前の節のエブリーの例のとおり、前年の新卒研修で出た声から始めると、テーマ(ターミナルと Git・GitHub、ネットワーク、データベースなど)が決めやすいこと(録画は遠方から参加する人もいるため、任意は学業を優先してもらいたいためと、エブリーは書いています)。もう 1 つは、上の「強制しない線」です。前提知識をそろえる場なら、出られなかった人には録画と資料を渡せば足ります。選考や評価の延長にすると、出なかったことに意味が付き、任意が任意でなくなります。

反対の根拠もあります。

この見立ては、交流や実務を渡すなと言うものではありません。交流の場は、前提知識の講義とは別の目的の場として分けて置き、実務の内定者インターンは、学習の場ではなく働いてもらう場として、条件を別に決めて案内するのがよいと考えます。

設計シート

編集部の提案です。 上の比較を、自社の内定期間を決める項目に変えました。右から 2 列目が、その行のもとになった各社の例です。自社の欄は空けてあります。

決めること選び方の例(編集部の提案)各社の例自社
目的(1 つ)入社後の研修の前提知識をそろえるエブリー(基礎知識を学べる機会)
形講義かメンターの伴走から始めるエブリー・Speee(講義)、NE(メンター)
期間10 月から 12 月までに講義と面談を終え、1 月から 3 月は空けるエブリー 26 卒向け(2025 年内に全講義を終えた)
頻度と 1 回の長さ2 週間に 1 回、90 分エブリー 26 卒向け
内定者の週あたりの時間1 時間までエブリー(約 45 分〜1 時間)、Speee(約 30 分)
出られない人への手当て全回オンラインで録画を残し、資料を渡すエブリー
担い手(講義のとき)入社 1〜3 年目の社員が中心となり資料を作り、社内でレビューしてから講義する。テーマごとに担当を均等に割り振るエブリー 25 卒向け(新卒 3 年目までの若手が中心)、26 卒向け(4 月に入社した新卒が中心、社内のレビュー、担当の割り振りを均等に)
担い手(メンターのとき)メンター 1 人に内定者 2 人までNE(最大 2 人)、ディップ(1 人に 1 人)
担い手の相談先経験の浅いメンターが先輩のメンターに相談できる場を置くNE(メンターの認識揃え会。先輩メンターや技術顧問と話せるようにした)
任意かどうかの書き方案内文に「任意」「不参加でも不利益は無い」「途中でやめてよい」を書くエブリー 25 卒向け(任意)、東京都の手引き
内定者インターンを置くか置くなら、学習の場とは別に、業務として賃金と労災の扱いを決めてから案内する東京都の手引き(業務命令に従えば賃金と労災)
交流の場講義とは別に、10 月か 11 月に 1 回、内定者同士と前年の新卒が話す会NE(10 月中旬の顔合わせ会)、ディップ(毎月の交流会)
入社後の研修への引き継ぎ講義のテーマと録画を、入社後の研修の担当に渡すエブリー(内定者研修を入社後の研修の前段に置いた)

期間の「1 月から 3 月は空ける」は、卒業研究や卒業の手続きと重なる時期を避けるための、編集部の仮の目安です。根拠となる記録はありません。エブリーは 26 卒向けで「約半年間の研修スケジュールで間延びしないように」2025 年内に終えたと書いていて、空けた理由はこれと同じではありません。

担い手の時間も見積もっておきます。

講義のときは、内定者の人数で時間が変わらないので、通しの計算例を 1 つだけ置きます。テーマ数の 5 は、エブリーが 26 卒向けで関連の深いテーマをまとめ、AI の開発の基礎を足した数です。1 テーマあたり、資料作り 8 時間・社内のレビュー 2 時間・講義 1.5 時間を仮に置きます。 1 テーマ 11.5 時間 × 5 テーマ = 57.5 時間です。5 人で 1 テーマずつ受け持てば、1 人あたり 11.5 時間になります。資料作りとレビューの時間は、根拠となる記録の無い仮の目安です。1 年目が終わったら、実際にかかった時間で置き直してください。

メンターのときは、数え方を「メンターと内定者 1 人の面談 1 回で 1 件」とします。NE は面談の頻度と長さを公開していないので、面談 30 分と記録 10 分を 2 週間に 1 回、設計シートの期間に合わせて 10 月から 12 月までの約 6 回、を仮に置きます。 NE の記録の項目(やったこと・次までにやること・質問されたこと・所感・コンディション)を書く時間を 10 分としました。

内定者の人数メンターの人数(1 人に 2 人まで)1 件の時間件数(人数 × 6 回)メンター全員の合計メンター 1 人あたり
2 人1 人40 分12 件8 時間8 時間
5 人3 人40 分30 件20 時間4〜8 時間(内定者 1 人を受け持つ人は 4 時間)
10 人5 人40 分60 件40 時間8 時間

面談 30 分・記録 10 分・2 週間に 1 回は、どれも根拠となる記録の無い仮の目安です。内定者 2 人を受け持つメンターは、3 か月で 8 時間、月にならすと 3 時間弱です。メンターの上長には、この時間を先に伝えて了承を取ってください。1 年目が終わったら、実際にかかった時間で置き直してください。

案内文の雛形

編集部の提案です。 内定者に送る案内の雛形です。各段のもとになった原典を、雛形の下に書きます。

【入社前の技術の勉強会のご案内】

4 月に入社するエンジニアの内定者の方に向けて、入社後の研修の前に知っておくと楽になる内容(ターミナルの使い方と Git・GitHub、ネットワーク、データベース、Web アプリのしくみ)の勉強会を開きます。

  • 日程: 10 月から 12 月まで、2 週間に 1 回、90 分。すべてオンラインです
  • 参加は任意です。学業を優先してください。出なかったことが、内定や入社後の配属・評価に影響することはありません
  • 一度参加すると決めたあとでも、授業や研究と重なったら、いつでもやめてかまいません。理由を伝える必要はありません
  • 全回を録画し、資料と一緒に共有します。出られなかった回は、都合のよいときに見てください
  • 他社の選考や面接と重なったら、そちらを優先してください
  • 分からないことは、担当の社員に何でも聞いてください。勉強会の進み具合を、選考や評価の材料にすることはありません
  • 申し込み: [締め切り] までに [担当者の名前と連絡先] へ
雛形の段もとになった原典
入社後の研修の前に知っておくと楽になる内容エブリー(前年の新卒研修の声と、26 卒向けのテーマから AI の開発の基礎を除いたもの)
2 週間に 1 回、90 分、オンラインエブリー 26 卒向け
任意、学業を優先、影響しないエブリー 25 卒向け(学業を優先してもらうため任意)、宣伝会議事件(同意しなかった人を不利益に扱わない)
いつでもやめてかまわない宣伝会議事件(学業への支障などで取りやめを申し出たら免除する)
録画と資料を共有するエブリー(全講義を録画)
他社の選考を優先してよい厚生労働省のリーフレット(他社の就活が物理的にできないような研修の参加要請はオワハラに当たり得る)

内定者インターンのように、業務として働いてもらう場を置くときは、この案内とは別にし、働く日数・時間・賃金・雇用契約を書いた案内を出してください。

うまくいっているかの測り方

調べた 10 社に、参加率や入社後の研修での前提知識のばらつきの変化を数字で公開した会社はありませんでした。この記事で読んだ原典の範囲では、公開された測り方は、エブリーの受講者アンケート、NE の事前の習熟度アンケートと顔合わせ会のあとのアンケートとメンターの記録のコンディション(4 段階)、ディップの日報への社員のフィードバックと最終発表会での参加者全員からの GOOD・MORE のコメントです。

編集部の提案です。 数え方を 2 つに分けます。内定期間は「内定者 1 人 × 1 か月で 1 行」とし、月末に人事がメンターや講義の担当から聞いて記録します。入社の前後は「講義のテーマ 1 つで 1 行」とし、研修担当が記録します。

数え方測ること誰が付けるか合図と、決める人
内定者 1 人 × 1 か月その月に参加した回と、録画を見た回講義の担当が出席と視聴の記録から合図は置かない。参加しない人に理由を聞かない・参加を促さない
内定者 1 人 × 1 か月コンディション(NE の 4 段階: ☆ 無敵・◎ 良い・◯ 普通・△ 悩む)メンターが面談ごとにその月の面談で △ が 2 回続いたら、人事が内定者に学業の状況だけを聞き、メンターと相談して課題の量を減らす
講義のテーマ 1 つ入社時の前提知識(「人に説明できる・使える・まだ」の 3 段階)内定者本人が入社の前月に付ける「まだ」が内定者の半数を超えたテーマは、研修担当が入社後の研修の最初に入れる
講義のテーマ 1 つ入社後の研修でのつまずき入社後の研修の担当新卒の半数を超える人が同じ箇所でつまずいたテーマは、研修担当が翌年の内定期間の講義の候補にする

課題をやってこなかった月も面談は続け、やってこなかった理由は聞きません(案内文の「理由を伝える必要はありません」と同じ線です)。面談 2 回・半数は、どれも根拠となる記録の無い仮の目安です。参加の記録は、施策を直すためだけに使い、個人の評価や配属の資料に載せないでください。 載せると、上の「強制しない線」の 2 行目に近づきます。入社時の前提知識の自己評価も、同じ理由で配属の判断に使わないのが前提です。

各社が内定期間の参加率や、入社後の研修への効果を公開したら、この記事を更新します。

出典

確かめられなかったこと: 内定期間の施策の参加率・不参加の人の扱い・入社後の研修での前提知識のばらつきの変化(調べた 10 社では公開されていない)、内定者インターンが有給か・雇用契約を結ぶか(内定者インターンの 4 社も、インターンシップと呼ぶアライドアーキテクツも書いていない)、エブリー 26 卒向け・ウィルゲート・KDDIアイレット・ディップ・バイセル・ファンコミュニケーションズ・ハコベル・アライドアーキテクツの参加が任意かどうか、ウィルゲートの内定者向け研修の時期と頻度、NE の面談の頻度と長さ、担い手の工数、宣伝会議事件の判決の原文、労働時間のガイドラインが入社前の内定者に当てはまるか、エンジニア内定者に絞った調査の数字。

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