そだてる
教える

新卒エンジニア研修を誰が教えるか:CTO・現場・年次の近い先輩・外部の割り振りを各社の公開例で比べる

| 公開

先に結論

  • 原典を読んだ 24 社の講師は、技術の講義は現場のエンジニア、導入の講義や研修の運営は 1〜3 年上の先輩、心構えやオリエンテーションは CTO や役員、AWS・スクラム・ビジネスマナーなどは外部、という組み合わせで書かれている。外部に出した科目や研修まで書いたのは 9 社。
  • 講師の時間を業務としてどう扱うか(工数の計上・謝礼・人事評価)は、24 社とも公開していない。手がかりは準備期間と 1 コマの長さに限られる。
  • 編集部の提案は、科目を先に決めてから担い手を当て、依頼のときに時間と上長の了承を一緒に取ること。本文に割り振り表・講師の時間の計算例・依頼の項目を置いた。新作の 1 コマで講師 約 10 時間(仮の目安)を見込む。

来年 4 月の新卒エンジニア研修の科目が決まると、次に要るのは「どの科目を誰に頼むか」です。社内のエンジニアに頼むなら、その人の本業の時間を研修に回してもらうことになります。

「新卒研修 講師 社内 選び方」で検索すると(2026 年 10 月 18 日、編集部が確認)、上位は人事のポータルや HR サービスの記事で、職種を問わない一般論が中心です。エンジニア組織が、科目ごとに誰を講師にしたかを各社の公開例で比べたものは見つかりませんでした。

この記事は、来年の研修の講師を決める研修担当に向けて、次の 3 つに答えます。

比べた会社の選び方を書いておきます。この媒体の研修資料の索引に載る 56 社のうち、講師の欄に記述があるのは 49 社です(2026 年 10 月 18 日、編集部が数えた)。このうち 24 社について、各社のテックブログや公式ブログの原典を開いて読み直しました。残る 25 社は索引の欄を見ただけで原典を読み直していないので、この記事の表には入れていません。

言葉を先に決めておきます。講師は、研修の 1 コマを受け持って教える人です。TA(ティーチング・アシスタント)は、IIJ の説明では「会場を回って質問やトラブルへの対応をするアシスタント」です。年次の近い先輩は、この記事では新卒の 1〜3 年上の社員を指します。ハンズオンは、講師の説明を聞きながら受講者が自分の手で操作する形の講義です。スクラムは、短い期間で区切って開発を進めるチームの進め方の 1 つです。

表のマスに出る技術や役職の語も、一言ずつ説明しておきます。

語意味
EMエンジニアリングマネージャー。エンジニアのチームを率い、メンバーの育成や評価を受け持つ管理職
AWSAmazon が提供するクラウドのサービス。サーバーやデータベースを借りて使う
Gitソースコードの変更の履歴を残し、複数人で同じコードを扱うための道具
Dockerアプリを動かす環境を箱にまとめ、どのパソコンでも同じように動かすための道具。docker-compose は複数の箱をまとめて立ち上げる仕組み
テスト駆動開発先にテストを書き、それが通るようにコードを書く進め方
SREサービスを止めずに動かし続けることを受け持つエンジニアの職種

フォロワー(DMM)・チューター(MIXI)・トレーナー(セーフィー)は、講師を補って受講者を支える役の、各社の原典での呼び名です。原典は「講師・フォロワー」「講師・チューター」のように講師と並べて書くか、研修の担当として書いていて、役目の中身までは説明していません。

講師を務めた側と受けた側の声

まず、講師を引き受けた社員が何を書いているかを並べます。

誰の記録か書いていること
ウィルゲートの SRE チームの 4 年目のエンジニア(24 新卒の内定者研修)「エンジニア基礎」を担当した。普段意識していることの言語化が難しく、「上長に手伝ってもらいながら」資料を作った
ニフティの研修の運営 2 人(2026 年度。前年は受講者)受講者の目線で資料を作る中で、「去年は曖昧なまま流していた部分に気づき、理解を深め直すことができました」
IIJ Bootcamp の運営(2019 年度の反省会)反省点に「講師の負荷が高い」を挙げ、その中身として資料作りを書いている
ジーニーの 2024 年度の新卒(受講者)講師が講義内容を当然のように理解しているのを見て、「来年はああならなければならないことを示しており、大変プレッシャーを感じました」

会社の側は、講師を務めることを講師本人の成長の機会としても書いています。DMM は 2022・2023・2024 年度の記事で、講師として教えることで先輩社員の側も成長できる、と続けて書いています。KDDIアイレットも、2 年目の社員にとって講師の経験が指導力を伸ばす機会になると書いています(2026 年 9 月 7 日)。

受けた新卒の側の声もあります。ブレインパッドの 2025 年度の新卒は、講師が外部講師ではなく現場の先輩社員であることを研修の特徴に挙げ、「現場ではこう使う」という実践知を教えてもらえたことを有益だったと書いています(2026 年 3 月 12 日)。リクルートの 2023 年度の新卒は、講師陣に社内外の第一線で活躍しているシニアエンジニアが多く、実際のプロダクトに技術がどう使われているかまで踏み込んで話してもらえたと書いています。

一方で、講師が依頼を断った、途中で降りた、特定の人に偏った、という記録は、24 社の原典では見つかりませんでした。 公開されているのは、研修を続けている会社が書いた記録です。

講師の割り振りがこじれるところ

コドモンの研修担当は、前の職場で研修担当がすべての研修を受け持っていたときの経験を書いています(2023 年 1 月 27 日)。研修内容によって深さにばらつきが出たり、無意識のうちに研修担当が得意な分野ばかりの研修になったりする「危うさがあった」といいます。コドモンではそれを避けるため、研修の目的とゴールから内容を洗い出し、内容ごとに開発メンバーに依頼する形にしました。結果として 18 名が研修に関わっています。

IIJ Bootcamp の 2019 年度の反省会には、時間の見積もりの甘さが並んでいます。

1 コマの長さを書いた会社はありますが、講師 1 人あたりの準備にかかった時間数を書いた会社は、24 社の中にありません。この点は後の「講師の準備と時間」の段で並べます。

エンジニアの研修で現場の講師が使われる理由

NTT コミュニケーションズは、2019 年度の研修で開発の最前線のエンジニアを講師にした理由を、「最前線に立つエンジニアだからこそ、実務で使われる技術が分かっており価値がある研修を提供できると考えているためです」と書いています。

エンジニアの研修では、講師が普段使っている技術や環境がそのまま教材になります。原典に書かれている例を挙げます。

外部に出した科目や研修まで書いた 9 社の中身は次のとおりです(外に出すかどうかの物差しは、後の割り振り表の下に置きます)。

科目ごとの担い手

24 社の原典に書かれた講師を、担い手の種類で分けると次のようになります。表の分け方は編集部の整理です。 1 社が複数の行に入ります。

担い手受け持つ科目・役目原典に書かれている例
CTO・役員・技術顧問オリエンテーション、心構え、最終日の講評弁護士ドットコムは CTO がエンジニアの心構えを講義(2025 年度)。MIXI は CTO がオリエンテーション、前 CTO の取締役がマインドセットの研修(2024 年度)。ディップは最終日に CTO が一人ずつ講評(2026 年度)。ブレインパッドは役員がビジネス法務の研修(2023 年度)。リクルートは技術顧問の和田卓人氏が心構え(2023・2026 年度。所属は 2023 年度の記事による)
現場のエンジニア技術の講義とハンズオン、教材づくりブレインパッド(コース合同の研修。表の下を参照)、リクルート、日本経済新聞社(講師は「各分野に精通した社員」。2026 年度からビジネス職も参加)、MIXI、IIJ、メドレー、メルカリ、NTT コミュニケーションズ(5 日間のうち 3 日)、コドモン、ウィルゲート、ディップ
年次の近い先輩導入の講義、週報のレビュー、研修の運営DMM(講師・フォロワーの約 8 割が技術研修を受けた新卒入社の社員で、前年の 22 新卒もメイン講師、2023 年度)、ニフティ(前年度の新入社員)、ジーニー(主に 2 年目)、セーフィー(前年の新卒がトレーナー)、KDDIアイレット(2 年目の社内研修。ハンズオンは職種を問わず全社一律)、サイバーエージェント(2 年目が 1 講義)、クラスメソッド(24 新卒がブログ研修)、ブレインパッド(2 年目が週報にフィードバック)
年次の近い先輩(運営だけ)研修の企画と運営エクサウィザーズ(2〜3 年目、2025 年度)、レアゾン(2024 新卒、2025 年度)、エブリー(3 年目まで、内定者研修、2024 年度)
外部AWS、スクラム、テスト駆動開発、ビジネス系の研修、技術の基礎上の段の 9 社

ピクシブも 2026 年の新卒研修で 80 名以上の社員が講師として登壇していますが、職種を問わない全社の新卒研修で、講師の中身もエンジニアの研修として読み分けられないので、表には入れていません。ブレインパッドは「ほとんどの研修をコース合同で行っています」(2023 年度)と書き、講師は「プロジェクトで最前線で活躍する社員」(講師の 8〜9 割)で、エンジニアとは書かれていません。フューチャーの BePro は、講義の講師ではなく、現場の IT コンサルタントが一度現場を離れて研修中の新人を支える「BeProリーダー」の仕組みなので、次の段の決め方の表にだけ入れています。

研修の規模と関わった人数を書いている会社もあります。

会社(年度)研修の規模関わった社員
ブレインパッド(2023)キャリアコース合同の新卒研修120 名を超える現場社員と関わる
ブレインパッド(2020)3 か月間60 名以上・7 つの全本部・準備期間 6 か月以上(記事中の画像)
DMM(2024)2 か月半。新卒エンジニア 30 名、研修数 28社内エンジニア約 60 名
日本経済新聞社(2025・2026)配属前のデジタル研修講師 30 名超
ディップ(2026)2 週間。新卒 6 名開発本部のエンジニア 30 名以上
IIJ Bootcamp(2026)受講者 70〜80 名ほど(新人以外も含む)講師 22 名・TA 20 名
コドモン(2022)5〜6 月の 2 か月間開発メンバー 18 名
ウィルゲート(24 新卒の内定者研修)12 項目講師 11 名

DMM は 28 の研修に関わる社内エンジニアが約 60 名なので、1 研修あたり 2 名ほどです。ウィルゲートは 12 項目を 11 名で受け持っていて、ほぼ 1 人 1 項目です。

講師の決め方

決め方会社原典に書かれている手順
科目を先に決めて適任者に頼む日本経済新聞社、コドモン日経は運営メンバーがシラバスの素案を作り、適任と思われる人に依頼して講義ごとの担当を決めた(2025・2026 年度)。コドモンは目的とゴールから内容を洗い出し、カリキュラムを作ってから担当を考え、研修の背景を説明して依頼した
手を挙げた人から選ぶKDDIアイレット、フューチャーアイレットは志望動機と企画案を人事に出し、選考を通った 2 年目が講師になる。フューチャーは立候補か上長の推薦で候補になり、推進部門の責任者と面接して決まる
有志IIJ、メルカリ、DMMIIJ Bootcamp は人事部の研修とは別に有志で開催。メルカリは社内の有志が DevDojo を提供。DMM は多くのメンバーが自ら手を挙げていると書く
前年の受講者が翌年の講師ニフティ、DMM、セーフィー、ジーニーニフティは「前年度の新入社員が翌年には講師を務める循環型の仕組み」。DMM は「新卒が新卒を育てる」体制を目指す

DMM は、2021 年度までは CTO 室などの横断組織が中心になって講師を務めていたと書いています。2022 年度に前年の受講者を運営に迎え、講師・フォロワーに占める新卒入社の社員は 2022 年度の約 6 割から 2023 年度の約 8 割に増えました。

IIJ Bootcamp は、講義の増減や入れ替えについて「講義の増加や変更は、概ね各講師の趣味によるところが大きいです」と書いています(2026 年度)。有志の形では、科目が講師の関心で決まる面があります。

講師の準備と時間

講師の時間を業務時間としてどう扱っているか、つまり工数の計上・本業からの差し引き・謝礼や手当・人事評価への反映は、24 社の原典のどれにも書かれていませんでした。 索引の 49 社の講師の欄にもありません。公開されていないことは、やっていないことを意味しません。

公開されている手がかりは次のとおりです。

会社書かれていること
ブレインパッド(2020)準備期間 6 か月以上(記事中の画像)。先輩社員は研修の企画段階から関わる。総仕上げのミニプロジェクトでは、チームごとに先輩社員 2 名がメンターとして毎日 30 分〜1 時間フォローした
ニフティ(2026)研修は 5 月末〜6 月中旬に短期集中で行い、準備は 2 か月前後
日本経済新聞社(2025・2026)各分野に精通した社員が、それぞれ「1〜2 時間程度の講義を担当しました」
IIJ(2019・2026)1 コマは 1.5〜2 時間要る(2019 年の反省)。2026 年度は概要の講義が 1 時間ほど、ハンズオンが 1〜2 時間
エブリー(2024)内定者研修は各回 2 時間を目安に、2 週間に 1 回
フューチャー(2026)研修のリーダーは現場を一度離れて務める
DMM(2024)研修が終わった時点で、翌年の研修の準備が始まっている
リクルート(2020)初めて研修をフルリモートにした年、講師側が所感や工夫した点を毎日フィードバックし、研修の仕立てを変えた
MIXI(2024)忙しい業務の中で講師・チューターへの協力を快諾したマネージャーとチームに謝辞を書いている
日本経済新聞社(2025)30 名を超える社員が「ご多忙のなか」講師を引き受けたと書いている

MIXI と日経の記事からは、講師が本業と並行して引き受けていること、MIXI ではマネージャーの了承を得ていることまでは読めます。その時間をどう扱ったかは書かれていません。

講師の時間が見えないと、得意な人に頼みが集まるという見立て

ここからは編集部の見立てです。

講師の時間が見えないまま頼むと、断りにくい人や得意な人に依頼が集まります。コドモンが書いた「研修担当が得意な分野ばかり」になる危うさは、研修担当 1 人に集まった場合の話ですが、社内の講師でも同じことが起きると編集部は見ています。ウィルゲートの 4 年目のエンジニアが上長の手を借りて資料を作ったように、1 コマの準備には本業の外の時間が要ります。依頼のときに時間と上長の了承を一緒に取っておかないと、翌年に同じ人へ頼みにくくなります。

反対の根拠もあります。

持ち回りは、講師の負担を毎年別の人に移す形です。ただし、前年の受講者に頼めるのは前年に新卒を採っている会社だけです。初めて新卒を採る会社や、新卒が 1〜2 名の会社では、現場の中堅と外部の組み合わせから始めることになります。

割り振り表の雛形

編集部の提案です。 上の比較をもとに、科目ごとに担い手を決める表の雛形を置きます。左の 2 列は、各社の原典で見られた組み合わせです。「原典の例」の括弧は、その行に挙げた社の数です。週報のレビューと最終日の講評は、24 社のうち書いていたのが 1 社だけでした。自社の欄は空けてあります。

科目原典で見られた担い手原典の例自社の担い手依頼先の名前上長の了承
オリエンテーション・心構えCTO・役員・技術顧問弁護士ドットコム、MIXI、リクルート(3 社)
自社の技術スタック・開発環境現場のエンジニアディップ、メルカリ、MIXI(3 社)
Git・Docker などの道具のハンズオン現場のエンジニアか年次の近い先輩IIJ、ディップ、ジーニー(3 社)
AWS などのクラウドの基礎外部と社員の組み合わせ弁護士ドットコム、MIXI、エクサウィザーズ(3 社)
スクラム・テスト駆動開発外部か現場のエンジニアNTT コミュニケーションズ、弁護士ドットコム(2 社)
ビジネスマナー・社会人の基本・強みの診断外部か人事外部はブレインパッド、メドレー、クラスメソッド(3 社)。人事はメドレー(人事部の内製の HC 研修。1 社)
週報・日報のレビュー年次の近い先輩ブレインパッド(1 社)
研修の運営年次の近い先輩エクサウィザーズ、レアゾン、エブリー(3 社)
最終日の講評CTOディップ(1 社)

外に出すか社内でやるかは、社内の技術や環境に依る科目は社内、依らない科目は外に出しやすい、を物差しにするのが編集部の提案です。ただし MIXI の 2024 年度の AWS 研修のように、外部(AWS ジャパン)に頼みながら「MIXIでよく使用されているサービスを重点的に」扱い、社員も講師に入れる組み方もあります。

埋めるときは、日経やコドモンと同じく、科目を先に決めてから人を当てます。 先に人を決めると、その人の得意な科目に寄ります。

講師の時間の見積もり

編集部の提案です。 講師 1 人あたりの準備の時間数を書いた公開記録は無いので、IIJ の反省会の 2 つの数字(1 コマ 1.5〜2 時間、参加者 30 人に講師 1 人と TA 3 人)だけを土台にし、準備の時間は仮に置きます。

数え方は「講師 1 人が 1 コマを受け持つごとに 1 件」とします。本番の時間は 1 コマ 2 時間(IIJ の上限)とし、準備は新しく資料を作るコマを本番の 4 倍の 8 時間、前年の資料を手直しするコマを本番と同じ 2 時間と仮に置きます。準備の 4 倍と 1 倍は、根拠となる記録の無い仮の目安です。 ウィルゲートは 12 項目のうち半分以上が新作の資料だったと書いていて、初年度は新作のコマが多くなります。

通しの計算例を 1 つ置きます。新卒 5 人・全 8 コマ(新作 6・手直し 2)の研修の場合です。

コマの種類件数1 件の講師の時間(本番+準備)小計
新作62+8=10 時間60 時間
手直し22+2=4 時間8 時間
合計868 時間

合計は、講師 1 人が 1 コマを受け持つ 1 件ずつの時間を足し上げたものです。講師 7 人で受け持てば、1 人あたり約 10 時間です。

TA は、新卒 5 人以下なら置かず、それより多い場合は IIJ の 30 人に TA 3 人の比(10 人に 1 人)を当てます。 この例では TA は置きません。IIJ の比は受講者 30 人の回の反省で、それを少ない人数に当てるのは編集部の置いた前提です。

この時間は、講師が本業から割く時間です。講師の上長が、研修の前にチームの予定からこの時間を先に引いておきます。

依頼のときは、この時間を上長に見せて了承を取ります。1 年目が終わったら、講師に実際にかかった時間を聞き、2 年目の見積もりを書き換えてください。

現場に講師を頼むときの依頼の項目

編集部の提案です。 各社の原典に書かれていることを、依頼のときに伝える項目に変えました。右の列が、その項目のもとになった原典です。

依頼で伝えること書き方の例もとになった原典
いつ頼むか本番の 2 か月前までに頼むニフティ(準備は 2 か月前後)、ブレインパッド(研修全体の準備期間 6 か月以上)
研修の目的とゴール、この科目の位置「配属先で Web アプリを一人で作れる土台を作る。その中の Docker の回」コドモン(研修の背景を説明して依頼)
科目のシラバスの素案扱う内容を 3〜5 行で。講師が直してよいと添える日本経済新聞社(素案を作ってから依頼)
受講者の前提知識と人数「新卒 5 人。2 人は Docker を触ったことがない」ブレインパッド(講師が受け手の前提知識と理解度を気にして設計した)
1 コマの長さと TA の有無「本番 2 時間。新卒 5 人なので TA は置かない」IIJ(1.5〜2 時間、30 人に講師 1 人・TA 3 人)
準備の時間の見込みと上長の了承「新作なら準備 8 時間を見込む。上長の了承は研修担当が取る」MIXI(マネージャーとチームの協力への謝辞)、ウィルゲート(上長の手を借りて資料を作った)
前年の資料があるか「前年の資料あり。手直しでよい」ウィルゲート(12 項目のうち半分以上が新作)
資料を社外に公開するか「公開する予定。社内の情報は抜く」DMM(社外に出せない社内情報を扱う資料が多く、公開したのは一部)
終わったあとの振り返り「受講者アンケートの結果を講師に渡す。翌年も頼めるかを聞く」リクルート(講師側が所感や工夫を毎日フィードバックした)
断ってよいこと「本業の山と重なるなら断ってよい。新作が重ければ、前年の資料の手直しの回だけでもよい」−(講師が断った記録は 24 社の原典に無い。編集部が足した)

講師の上長(EM)が自分も講師をするときは、自分の分も同じ計算に入れ、チームの予定から先に引きます。この表は、頼まれる側が引き受ける前に確かめる問いとしても読めます。

うまくいっているかの測り方

講師の偏り、翌年も引き受けた人の割合、講師へのアンケートを測っている会社は、24 社の原典では見つかりませんでした。

編集部の提案です。 数え方は「講師 1 人 × 1 年度で 1 行」とし、研修が終わった月に研修担当が次の 3 つを記録します。

測ること誰に聞くか合図と、決める人
その人が受け持ったコマの数研修担当が時間割から数える1 人が 3 コマ以上を受け持っていたら、研修担当が翌年はそのうち 1 科目に 2 人目を当てる
実際にかかった準備と本番の時間講師本人見積もりの 1.5 倍を超えたコマは、研修担当が翌年の見積もりを書き換え、上長に伝える
翌年も引き受けるか(引き受ける・条件つき・引き受けない)講師本人「引き受けない」が半数を超えたら、研修担当が CTO や EM と、翌年は講師の時間を上長がチームの予定から先に引く形にするか、外に出す科目を増やすかを決める

3 コマ・1.5 倍・半数は、どれも根拠の記録が無い仮の目安です。3 コマは、ウィルゲートがほぼ 1 人 1 項目、DMM が 1 研修 2 名ほどで受け持っていることを手がかりに置きました。1 年目の記録を見て置き直してください。

受講者側のアンケートは、講師の評価ではなく科目の評価として取ります。ジーニーの新卒のように、受講者が翌年の講師になる会社では、受講者の感想がそのまま翌年の講師の準備の材料になります。

各社が講師の時間の扱いや、講師を続けてもらう工夫を公開したら、この記事を更新します。

出典

確かめられなかったこと: 講師の時間を業務時間としてどう扱うか(工数の計上・本業からの差し引き)、講師への謝礼・手当・人事評価への反映、講師が断った・降りた・偏ったという記録、講師の偏りや再登板の率を測っている会社、クラスメソッドが技術研修を外部に出した理由、索引で講師の欄に記述がある 49 社のうち原典を読み直していない 25 社の講師の中身。

関連

ほかの記事