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配属後の新人を誰が支えるか:メンター・OJT トレーナー・EM の分け方を各社の公開例で比べる

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先に結論

  • 公開例を調べた 11 社では、メンターの出し方が 5 つの型に分かれる。チームの外から出す(3 社)、配属先のチームから出す(4 社)、研修期間だけ 2 年目が付く(2 社)、専属を付けない(1 社)、役割を分けて複数人で支える(1 社)。
  • チームの外から出す会社は、チームの中では相談しにくい悩みがあることを理由に挙げている。一方で、はてなはチーム外のメンターに評価の一部も持たせており、評価との距離は会社によって正反対。1on1 の長さまで分かるのは 2 社で、週に換算すると 1 時間 45 分と 2 時間 30 分。
  • 編集部の見立ては、仕事を教える人とは別に、評価にも日々の仕事にも利害の小さい相談先を 1 人置くこと。来週の人選では、誰が仕事を教え、誰が相談を受け、誰が評価するかを先に紙に書き分け、最初の 1 か月は 1on1 に週 2 時間ほどを空けて、使った時間を測る。

新卒エンジニアの研修は 3 か月がもっとも多く、4 月に始めて 7 月に配属する形が標準です(新卒エンジニア研修の横断比較)。研修が終わると、新人は配属先のチームに入ります。研修の設計は各社が詳しく公開していますが、配属されたあと誰が新人を支えるのかは、記録が散らばっています。

来年 4 月の配属に向けて、EM はこの秋から冬にメンターや OJT の担当を決めます。EM(エンジニアリングマネージャー)は、チームの人と開発を見る管理職です。そのときに迷うのは次のような点です。

「メンター制度 エンジニア」で検索すると(2026 年 10 月 10 日、編集部が Google で確認)、上位には企業の制度紹介、HR や採用支援の会社のコラム、用語集が並びます。年が分かる企業の制度紹介は、はてなの 2018 年の記事でした。同じ物差しで並べた比較は見つかりませんでした。 検索の候補には「失敗例」「デメリット」「OJT 違い」が出ます。

この記事は、11 社が公開したメンターと OJT の体制を、同じ物差しで並べます。研修期間までを扱った横断比較の続きとして、配属後を扱います。

公開例に出てくる言葉を、先に短く説明しておきます。

支える側と支えられる側の記録

まず、メンターを務めた側と新人の側が、公開の場で何を書いているかを並べます。

誰の記録か書いていること出典
SmartHR のメンター(2025 年)通常の開発業務に加えてのメンター業なので、両立が大変なときもあるSmartHR
電通総研の OJT リーダー(2026 年)OJT リーダーを担当すると、個人の業務負荷は増える電通総研
はてな(2018 年、制度の課題として)制度がメンターのやる気に依存しすぎていて、メンターの負荷が高まっているはてな
DeNA のインフラ SRE で初めてメンターを務めた社員(2025 年)考えさせる問いかけを多用した結果、メンティーからの質問の頻度が明らかに減り、孤立を深めてしまったDeNA
ドワンゴの新卒(2026 年度)研修運営とサポーターが朝会と振り返り会に毎回参加し、日々の進み具合を把握していたので、困っていることを説明し直す手間がなかったドワンゴ教育サービス開発者ブログ

メンターの側からは、本業との両立の重さが繰り返し書かれています。DeNA の例では、メンターが考えさせる問いかけを多用した結果、新人からの質問の頻度が明らかに減りました。ドワンゴ(2026 年度)の例では、研修運営とサポーターが日々の進み具合を把握していたので、新人は困っていることを説明し直す手間がありませんでした。

編集部の見立てでは、この 2 つの記録から新人の側に見えるのは、質問しにくくなると支えが止まるということです。

メンターと OJT トレーナーの違い

「メンター」という言葉は、会社によって指す役割が違います。公開例を読むと、少なくとも次の 3 つの役割が、同じ「メンター」の名前で呼ばれています。

役割やること公開例での呼び名
仕事を教える人日々のタスクの進め方、技術の質問、コードレビューOJT リーダー(電通総研)、サポーター(ドワンゴの 2026 年度)、配属先のメンター(ディップ)
相談を受ける人仕事の外の悩み、チームや会社への不満も含めた話し相手フォローメンター(NE 株式会社。技術面のフォローも持つ)、プレメンター(DeNA)
評価する人成果や行動の評価、配属やアサインの判断直属の上司とメンター(はてな。軸ごとに分けて持つ)

SmartHR のメンターは、チーフから示されたメンターへの期待(心理的安全性の確保、成長のサポート、技術面のサポート、業務の進め方、会社とチームの文化の共有)の一部が、チーフと重なると書いています(SmartHR、2025 年 5 月 16 日)。

はてなは逆に、評価の一部をメンターに持たせています。評価は「成果」「行動スキル」「専門スキル」の 3 つの軸で行い、前の 2 つはチームの直属の上司が、「専門スキル」の評価とフィードバックはチーム外のメンターが担います(はてな、2018 年 5 月 30 日)。

編集部の見立てでは、支え手が曖昧になるのは、この 3 つの役割を誰が持つかを決めないまま「メンター」を 1 人指名するからです。名前だけを決めると、仕事を教えることも、相談を受けることも、評価に近い判断も、1 人の先輩に寄っていきます。メンターの負担が重いという記録は、この寄り方の結果だと考えます。検索で問われる「メンターと OJT の違い」は、表の 1 つ目の役割(仕事を教える OJT トレーナー)と 2 つ目の役割(相談を受けるメンター)の違いとして読むと、自社の人選に置き換えられます。

エンジニア組織での違い

エンジニアの新人を支える仕事には、技術の質問への回答とコードレビューが入ります。ここを誰が受けるかを、公開例は具体的に決めています。

編集部の見立てでは、エンジニア組織では技術の質問が毎日発生するので、これを 1 人のメンターで受け続けると負担が集中します。ディップのように質問の道を先に決めるか、ドワンゴ(2026 年度)のように質問を受ける人を別に置くと、メンターが 1on1 と相談に時間を割けます。

各社の公開例の比較

11 社の公開例を、新人の人数・出す場所・年次・1on1 の頻度・評価との関係で並べます。時点は記事の公開日か、記事が扱う年度です。記事に書かれていないことは「公開されていない」としました。

会社(時点)誰が支えるか新人の人数出す場所年次1on1 の頻度評価との関係
はてな(2018 年)新卒・中途や入社年数にかかわらず、全エンジニアにメンターが 1 人公開されていない(新卒に限らず全エンジニアが対象)チーム外シニアエンジニア最低で月 1 回「専門スキル」の評価を担う
はてな(2022 年、ローテ 1on1)各チームの TL と EM がローテーションで 1on1 を受け持つ。3 人で議事録を共有し、隔週で読み合わせる公開されていない(新卒に限らず、3 名のチーム 2 つのメンバーが対象)自チームと隣のチームの TL と EM公開されていないメンティーは隔週で違うメンターと話す公開されていない
ランサーズ(2016 年)日々の仕事の上で利害関係が小さい人。姿勢は「9 割聞き役、1 割話す程度」公開されていない一緒に働くメンバーや上長は避ける公開されていない公開されていない公開されていない
NE(2025 年度)新卒 1 人に専属のフォローメンター 1 人。研修初日のマネージャーとの 1on1 で配属チームとメンターを決める新卒エンジニア 2 名配属チームの外先輩公開されていない公開されていない
DeNA(2024 年度)研修期間中のプレメンター。1 人に 1〜2 名のメンティープレメンター 1 人に 1〜2 名。研修のチームは 8 人程度公開されていない(研修のチームごとに、チームメンターとプレメンター 4 人がいる)基本は新卒 2 年目週次(研修期間中)人事権を持たないと新人に明示した例がある
ドワンゴ(2021 年度)新卒 1 人にメンター 1 人。研修中から配属後まで公開されていない(新卒 1 人にメンター 1 人)配属先のチーム公開されていない定期的に公開されていない
ドワンゴ(2026 年度)研修運営・メンター・サポーターの 3 つのロール公開されていない(研修生 1 人にメンター 1 人)メンターは配属先の先輩公開されていない公開されていない公開されていない
SmartHR(2025 年)新卒が配属されたチームの既存メンバー新卒 8 名(エンジニア 5 名)。書き手のチームには 1 人配属先のチーム公開されていない毎週 30 分と、毎朝 15 分のショート 1on1公開されていない(メンターへの期待の一部がチーフと重なると書いている)
ディップ(2026 年度)配属先のメンター研修の LT 大会の記述では新卒 6 名配属先公開されていない配属後最初の 1 か月は週 2 回、その後は週 1 回公開されていない
電通総研(2026 年)OJT リーダー。新人には開発チーム全員と順に 1on1 をしてもらった記事は OJT リーダー 1 人が新人 1 人を受け持った例受け入れチーム公開されていない公開されていない公開されていない
ラクーン(2021 年入社・2022 年度)新卒 1 年間、先輩エンジニア 1 人がメンター。2022 年度の研修は 2 年目がメンターでシニア 1 名が支えた。別に同じ部署の先輩が付くブラザー制度(2021 年の記述)公開されていないブラザーは同じ部署研修のメンターは 2 年目2021 年入社の人の記事では、研修中は午前と午後に振り返り公開されていない
i-plug(2024 年の研修)専属のメンターは付けず、所属チームのリーダー・5 年以内の若手・所属オフィスのメンバーの 6 名が関わる新卒 1 名所属チームと所属オフィス5 年以内の若手を含む毎日 30 分ほど、研修担当者の誰かと 1 対 1公開されていない
メドレー(2025 年度)新卒一人ひとりにメンター。日報に必ず目を通して毎日フィードバック公開されていない公開されていない公開されていない週次公開されていない

出典は記事の末尾にまとめました。ランサーズの記事は 2016 年で、今も同じ運用かは公開されていません。はてなは 2022 年の記事で、2018 年に紹介したチーム外のメンターを、その後チーム内で固める方向に変えたと書いています(はてな、2022 年 12 月 6 日)。

付ける期間と 1on1 の時間

上の表の頻度を、付ける期間と、1on1 に使う週あたりの時間に並べ直します。1 回の長さまで書かれているのは SmartHR と i-plug の 2 社です。週あたりの時間は、「毎朝」「毎日」とある会社を平日 5 日として編集部が換算しました。SmartHR は 30 分と 15 分×5 日で週 1 時間 45 分、i-plug は 30 分×5 日で週 2 時間 30 分です。

会社(時点)付ける期間1on1 に使う週あたりの時間
SmartHR(2025 年)公開されていない(記事は始まって 1 か月の時点)週 1 時間 45 分(毎週 30 分と毎朝 15 分)
i-plug(2024 年の研修)研修の計 2 か月。毎日の 1 対 1 は開発部内の研修の 1 か月の日課週 2 時間 30 分(毎日 30 分ほど。研修担当者の数名で分け持つ)
ディップ(2026 年度)公開されていない1 回の長さは公開されていない。回数は最初の 1 か月が週 2 回、その後が週 1 回
メドレー(2025 年度)研修期間中。長さは本文に書かれていない1 回の長さは公開されていない。週次の 1on1 と、毎日の日報への返事
はてな(2018 年)区切りなし(入社年数にかかわらず全エンジニアに付く)1 回の長さは公開されていない。最低で月 1 回
はてな(2022 年、ローテ 1on1)公開されていない(記事は始めて 10 か月の時点)1 回の長さは公開されていない。隔週で違うメンターと話す
DeNA(2024 年度)プレメンターは研修の 3 か月1 回の長さは公開されていない。週次
ラクーン(2021 年入社)新卒の 1 年間1 回の長さは公開されていない。研修中は午前と午後に振り返り
電通総研(2026 年)OJT 期間の半年(10 月の配属から)。OJT リーダーの開発タスクを軽くしたのは最初の 2 か月公開されていない
ドワンゴ(2021 年度)研修中から配属後まで。終わりは公開されていない1 回の長さは公開されていない。定期的に
ドワンゴ(2026 年度)研修は約 3 か月半。メンターは配属先の先輩公開されていない

NE 株式会社とランサーズは、期間も時間も公開されていません。

5 つの型

並べると、メンターの出し方は 5 つの型に分かれます。

型会社理由として書かれていること
チームの外から出すはてな(2018 年)・ランサーズ・NEチーム内で相談しにくい場合や別の視点を得たい場合がある(はてな)。一緒に働くメンバーや上長だと言いにくいことがある(ランサーズ)。チーム内だからこそ言えない悩みのフォロー(NE)
配属先のチームから出すドワンゴ(2021 年度)・SmartHR・ディップ・ラクーン(ブラザー制度)研修中だけでなく配属後も支えられる(ドワンゴ)
研修期間だけ 2 年目が付くDeNA・ラクーン(2022 年度の研修)配属後のメンターの前に付くメンター(DeNA)
専属を付けないi-plug専属は付けず、各メンバーに 1on1 などで気にかけてもらう
役割を分けて複数人で支えるドワンゴ(2026 年度)1on1 とレビュー、日々の質問対応、研修の運営を別の人が持つ

型は排他ではありません。ラクーンは 2021 年の記述では、研修のメンターとは別に、同じ部署の先輩が付くブラザー制度を持っていました。DeNA はプレメンターのあとに部門配属後のメンターが付きます。

チームの外から出す会社の理由

チームの外から出す 3 社は、理由をはっきり書いています。

チームの外から出す形ではありませんが、DeNA で初めてプレメンターを務めた 2 年目の社員 1 人は、初対面でメンティーに、自分は人事権を持たないので会社や他のメンバーへの不満も話して影響がないと伝えたと書いています(DeNA、2025 年 1 月 21 日)。会社の決まりとしてではなく、本人が自分で考えて伝えたことです。

配属先のチームから出す会社の理由

配属先のチームから出す会社は、つながりの続きやすさを取っています。ドワンゴは 2021 年度、メンターを基本的に配属先のチームから選び、研修中だけでなく配属後も支えられるようにしました(ドワンゴ、2022 年 3 月 24 日)。SmartHR は配属されたチームの既存メンバーがメンターを務め、毎週 30 分の 1on1 とは別に毎朝 15 分のショート 1on1 を置きました。ディップは配属後最初の 1 か月の 1on1 を週 2 回にしています。

編集部の見立てでは、毎朝 15 分や週 2 回は、同じチームにいるから組める頻度です。配属先から出す形は、頻度で支えを厚くできることが強みです。

チームの人数で選ぶ型

新卒が 1〜2 人で開発が 10 人前後の小さい組織では、チームの外から専属のメンターを出せないことがあります。公開例のうち、新人の人数やチームの規模が書かれているものを並べます。

形会社(時点)規模の記述中身
チームの外から専属で出すNE 株式会社(2025 年度)新卒エンジニア 2 名1 人に 1 人、配属チームの外の先輩をフォローメンターとして付ける
専属を付けず、複数人で見るi-plug(2024 年の研修)新卒 1 名に 6 名所属チームのリーダー、5 年以内の若手、所属オフィスのメンバーが関わり、研修担当者の数名が毎日 30 分ほど 1 対 1 で話す
2 年目に相談役を任せるDeNA(2024 年度)プレメンター 1 人に 1〜2 名研修の 3 か月、週次の 1on1。チームメンターとプレメンター 4 人が週次の共有会で状況を持ち寄る
隣のチームの TL と回すはてな(2022 年、ローテ 1on1)3 名のチームが 2 つ。どちらにもメンター経験者がいない自チームの TL、隣のチームの TL、EM の 3 人で回し、メンティーは隔週で違うメンターと話す

はてなはローテ 1on1 を入れた理由として、3 人のチームだと TL が 1on1 をすることになりがちで、普段と違う帽子で会話をするのは難易度が高いと書いています(はてな、2022 年 12 月 6 日)。ローテ 1on1 は新卒に限らない、チームのメンバー向けの仕組みです。i-plug は、新卒が 1 名でも 6 名に関わってもらったのは、研修ができるメンバーを増やすことと、なるべく多くのメンバーと関わらせることが目的だと書いています(i-plug、2025 年 3 月 17 日)。

編集部の見立てでは、新卒が 2 名でもチームの外から出している NE 株式会社の例があるので、まず外から 1 人出せないかを探します。出せないときは、隣のチームの TL を相談の相手に入れて回す(はてな)か、2 年目に相談役を任せて、任せた人どうしを週に 1 回集める(DeNA)形が取れます。新人 1 人を数名で見る形(i-plug)は、毎日の 1 対 1 を分け持てるので、1 人あたりの時間を小さくできます。

メンターを任された側の負担

メンターの負担を減らすために、公開例が取っている手は次のとおりです。

手会社中身
1 人のメンターに背負わせないはてな(ローテ 1on1)TL と EM の 3 人がローテーションで受け持つ。メンター初心者にとって影響と責任が 1/3 になり、他人の 1on1 の議事録を読んで学べる
メンター同士で集まるDeNAチームメンターとプレメンター 4 人が週次で集まる共有会
メンターを支える人を置くラクーン(2022 年度)2 年目のメンターをシニアエンジニア 1 名が支えた
本業を軽くする電通総研最初の 2 か月は、OJT リーダーの開発タスクをなるべく軽いものやレビューのみにした。チーム全体で受け入れる文化が重要と書いている
質問の入り口を分けるディップ・ドワンゴ(2026 年度)質問の順番を決める。日々の技術の質問を受けるサポーターを別に置く

はてなはローテ 1on1 の欠点も書いています。同じメンターと話す頻度が減ることです(はてな、2022 年 12 月 6 日)。その一方で、メンター 3 人は議事録を共有し、隔週で読み合わせの会を持っています。編集部の見立てでは、負担を複数人に分けるなら、はてなの議事録のように新人の状況を共有する仕組みを一緒に置くと、話す相手が替わっても話がつながります。

メンターが 1on1 のほかに質問対応やレビューも含めて週に何時間を使ったか、それを評価や目標にどう載せたかを数字で公開した会社は、調べた 11 社では見つかりませんでした。本業を減らした記述では、電通総研が最初の 2 か月は担当者の開発タスクをなるべく軽くしたと書いているのが、調べた範囲でもっとも具体的です。

編集部の提案としての出発点は、最初の 1 か月は 1on1 だけで週 2 時間ほどを空け、2 か月目から回数を減らし、実際に使った時間を毎週測ることです。週 2 時間は、1on1 の長さまで分かる 2 社(SmartHR の週 1 時間 45 分、i-plug の週 2 時間 30 分)の間を取りました。最初の 1 か月を厚くしてあとで減らす形はディップ(最初の 1 か月は週 2 回、その後は週 1 回)に、最初の 2 か月はメンターの本業を軽くする形は電通総研にならっています。質問への対応やレビューの時間はこの 2 時間に入っていないので、測って足します。これは公開例から組んだ見立てで、効果を確かめた数字はありません。

編集部の見立て

編集部の見立ては、仕事を教える人とは別に、評価にも日々の仕事にも利害の小さい相談先を 1 人置くことです。

根拠は、前に挙げたチームの外から出す 3 社の理由です。3 社とも、相談しやすさを利害から離れることで作っています。制度ではなく個人の工夫ですが、DeNA で初めてプレメンターを務めた社員 1 人も、自分は人事権を持たないと最初に伝えています。

反対の根拠も並べます。

メンターの選び方:先に決める 4 つのこと

来週の人選では、次の 4 つを先に決めることを勧めます。

  1. 仕事を教える人は誰か。 多くの場合は配属先の先輩です。日々の技術の質問をこの人に集めるのか、ディップのように Slack を先に通すのかも決めます
  2. 相談を受ける人は誰か。 仕事を教える人と同じにするなら、その人が評価に関わらないことを新人に伝えます。チームの外から出せるなら、NE のように専属で 1 人付けます。チームの外から出せないときは、上の「チームの人数で選ぶ型」の 3 つの形(隣のチームの TL と回す、2 年目に任せる、数名で見る)から選びます
  3. 評価するのは誰か。 EM か、はてなのようにメンターにも一部を持たせるか。新人にはどちらかを最初に説明します
  4. メンターの本業をどれだけ減らすか。 電通総研のように担当者のタスクを軽くするか、はてなのローテ 1on1 のように 1 人で背負わせない形にするか。工数の相場は公開されていないので、出発点として最初の 1 か月は 1on1 に週 2 時間ほどを空け、最初の 2 か月は本業を軽くし、使った時間を記録して次の人選で直します

うまくいっているかの測り方

メンターの体制を変えて、新人の立ち上がりや離職がどう変わったかを数字で公開した会社は、調べた 11 社では見つかりませんでした。公開例から、見るとよいものを編集部の提案として挙げます。

見るもの見方手がかりにした例
新人の質問の行き先新人がどこに質問しているか(Slack、メンター、チームの他の人)を月に 1 回数える。特定の 1 人に集中していないかディップの質問の順番
質問の頻度の変化1on1 やレビューのあと、新人からの質問が減っていないか。減ったら、関わり方を見直すDeNA のインフラ SRE の、問いかけが多すぎて質問が減った例
状況を説明し直す回数新人が困ったとき、同じ状況を何人に説明したかドワンゴ(2026 年度)の、研修運営とサポーターが進み具合を把握していたので説明し直す手間がなかったという新卒の記述
メンターの負荷メンターが 1on1 と質問対応に使った時間を、本人に週に 1 回書いてもらう。本業の予定がずれていないかはてなの、メンターの負荷が高まっているという課題
言いにくいことが話せているか半期に 1 回、新人に「仕事以外の悩みを相談できる人がいるか」を聞くはてな・ランサーズ・NE の、チームの外に相談先を置く理由

メンターの負荷は、公開されている記録がほとんどありません。自社で数え始めると、次にメンターを決めるときの材料になります。

出典

確かめられなかったこと: メンターの工数と、それを評価や目標にどう載せたかを数字で公開した会社は、調べた 11 社では見つかりませんでした。メンターと OJT の担当を分けた会社と兼ねた会社で、新人の立ち上がりや離職を比べた数字も公開されていません。メドレーの OJT の指導者がメンターと同じ人かは、記事に書かれていません。ランサーズの制度が今も同じ運用かは公開されていません。1on1 の 1 回の長さは、SmartHR と i-plug のほかは公開されていません。

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