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新卒エンジニアの配属の決め方と伝え方:企業側の設計を各社の公開記録で比べる

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先に結論

  • 配属先を決める時期は、研修の中身を配属先に合わせたいなら早く、研修中の希望の変化を待ちたいなら遅く、で選ぶのが編集部の提案。調べたエンジニア職の 9 社では、入社日に決まっている・約 3 週間〜1 か月の研修のあと・入社から 2〜4 か月で・仮配属を挟んで、の 4 つに分かれ、決め方まで公開していたのは CARTA と DeNA だった(エンジニア職に限らない新卒ではシスメックスも)。
  • 3 社に共通するのは、配属の前に部署の情報を新卒に渡し、本人の希望を面談や順位で聞くこと。DeNA は確定したあと全員と面談し、なぜその部署か・何を期待しているかを伝えたが、希望が通らなかった人にどう伝えたかを書いた会社は見つからなかった。
  • 編集部の見立ては、配属の結果よりも、決め方と日程が新人から見えないことが不信を生むということ。結果を伝える日とは別に決め方と日程を入社前に伝え、確定後は一人ずつ理由と期待を話す。記事の後半に、日程表・質問例・JD の雛形・決める基準を編集部の提案として置いた。

新卒エンジニアの研修は 3 か月がもっとも多く、4 月に始めて 7 月に配属する形が標準です(新卒エンジニア研修の横断比較)。研修の中身は各社が詳しく公開しています。一方で、研修のあと誰がどのチームに行くのかを、いつ・何を基準に決め、どう伝えるのかは、記録が少なく散らばっています。

来年 4 月の新卒を迎える会社では、この秋から冬に受け入れの計画を立てます。人事と EM(エンジニアリングマネージャー。チームの人と開発を見る管理職)が迷うのは、次のような点です。

「新卒エンジニア 配属 決め方」で検索すると(2026 年 10 月 10 日、編集部が確認)、上位には学生・候補者向けのガイドや大学の就職資料、採用 FAQ と、企業向けの一般論やコラムが並びます。エンジニア職の配属を、受け入れる企業の側から比べた記事は見つかりませんでした。

この記事は、エンジニア職の新卒の配属を公開している 9 社と、エンジニア職に限らない新卒の記録としてピクシブ(仮配属先の発表)とシスメックス(配属の決め方を変えた)の 2 社を、同じ物差しで並べます。

先に、記事に出てくる言葉を短く説明しておきます。

配属を受け止める側の声と、離職の数字

まず、配属がどう受け止められているかを示す記録を並べます。

誰の記録か書いていること出典
HR総研(2024 年 3 月公表)新入社員の早期離職の原因の一つとされる「配属ガチャ」の対策として、配属先の情報を入社前に伝える企業が増えているHR総研
カンビア(2024 年 6 月)理系の技術職の配属先決定について企業に聞く調査をしたカンビアが、調査の背景として、企業も「配属を理由とした内定辞退、早期離職」等から配属先決定の課題を抱えていると書いているカンビア
DeNA(2020 年 11 月)新卒採用をしていてよく聞かれる質問が「配属ってどうやっているんですか?」だと、配属を担当した社員が書いているDeNA
SmartHR の新卒(2026 年 1 月)入社日から配属先のチームが決まっていたので、研修と配属先での OJT を並行することになった。配属先によって「6月までは研修に集中してほしい」「4月からガンガン開発に入って欲しい」と期待が分かれ、研修を進めるうえでの課題になったSmartHR

配属ガチャは、配属先が自分では選べず運で決まるように見えることを指す言葉です。HR総研とカンビアは、どちらも企業に聞いた調査のなかで、この言葉や早期離職を背景として挙げています。

離職そのものの数字も確かめました。厚生労働省によると、2022 年 3 月卒の大卒就職者のうち、就職後 3 年以内に離職した人は 33.8% です(前年より 1.1 ポイント低下。厚生労働省、2025 年 10 月 24 日)。

ただし、配属への不満が離職の理由としてどれだけあるかは、公的な統計からは分かりません。 厚生労働省の 2023 年の若年者雇用実態調査は、初めて勤めた会社をやめた理由(3 つまで)を聞いています。多い順に「労働時間・休日・休暇の条件」28.5%、「人間関係」26.4%、「賃金の条件」21.8%、「仕事が自分に合わない」21.7% です。選択肢に「配属」はありません(厚生労働省、2024 年 9 月公表)。配属への不満を理由にした離職を直接数えた統計は、調べた範囲では見つかりませんでした。

配属ガチャと言われる理由

配属の決め方を変えた会社は、変える前の何が問題だったかを書いています。

編集部の見立てでは、この 3 つの記録に共通するのは、誰が・何を見て・いつ決めるのかが新卒から見えないことが不満の元になっている点です。配属先が希望どおりでなかったこと自体よりも、決まり方が分からないことが問題として書かれています。

エンジニア組織での違い

エンジニアの配属には、ほかの職種とは違う事情があります。公開記録から読めるのは次の 3 つです。

チームごとに使う技術と仕事の形が違います。 DeNA は、向き合う事業の性質・規模・段階によって、技術スタックの考え方も組織のあり方も違うと書いています。事業の変化が速く、3 月まであった部署が 4 月には無いこともあるため、新卒採用では採用時にポジションを約束するのが難しく、入社してから配属すると説明しています(一部例外あり)。

研修の中身が配属先で変わります。 ディップの 2026 年度の技術研修は、ゴールを「入社2週間後に、配属先チームのコードに触れてPRを出せる状態になっていること」に置き、研修の 2 週目からは配属先に入ってメンターの隣でコードに触れます(ディップ、2026 年 5 月 1 日)。配属先が研修の途中で分かっている前提の設計です。

配属先が分かっていても、研修を配属先に寄せない会社もあります。ドワンゴは、新卒一人ひとりに配属先のチームに所属するメンターが研修中から付きます。そのうえで 2021 年度は、研修後にそれぞれ様々な部分を担当するチームに配属されるが、研修ではサーバーのセットアップからフロントエンドまで一通り触るように設計したと書いています。理由は、サーバーサイドの人もフロントエンドやアプリのことを知り、お互いの状態や状況を知って仕事をすることで、同社の文化の「多様性を受け入れる」ことができると考えたからです(ドワンゴ、2022 年 3 月 24 日)。

研修中に本人の希望が変わります。 DeNA は、最初の時点で「〇〇の部署で△△を□□としてしたい!」と割と明確な人もいるが、約 3 か月の研修の中でガラッと変わる人は少なくないと書いています。研修で同期と関わるなかで、初めて自分の価値観や性質が見えてくる人が多いといいます。

業種による違いは、カンビアの調査にも出ています。技術職・研究開発職・IT エンジニア職で理系の新卒を採る 104 社に聞いたところ、配属先を伝える時期は全体では「入社後の研修期間」が 42.3% で最多でした。業種別では、IT 業界は募集の段階で配属先を明示する企業が過半数で、製造業は研修期間中に決める企業が過半数でした(カンビア、2024 年 6 月 18 日。調査は 2024 年 6 月 10〜13 日)。

各社の公開記録の比較

エンジニア職の 9 社を、時点・新卒の人数・入社から本配属まで・仮配属・配属先が分かる時点で並べます。最後の行のピクシブは参考です。時点は記事が扱う年度です。「−」は記事に書かれていないことで、やっていないという意味ではありません。

会社(時点)新卒の人数入社から本配属まで仮配属配属先が分かる時点
SmartHR(2025 年 4 月入社)−(新卒 0 期生)研修は 3 か月。配属先での OJT と並行なし入社日
日本経済新聞社(2026 年度)−全職種の研修 4 月 1〜10 日、デジタル人材向けの研修 4 月 13〜17 日(対象はエンジニア・データサイエンティスト職。2026 年度はビジネス職も参加)、4 月 20 日から本配属なし−(5 日間の研修の柱の一つが各部署・チームの紹介)
ディップ(2026 年度)6 名全体研修と専門職の研修のあと、開発本部の技術研修 4 月 14〜24 日。5 月 1 日に配属なし(研修の 2 週目から配属先に入る)遅くとも技術研修の 2 週目
ドワンゴ(2021 年度・2026 年度)−2026 年度の研修は 4 月中旬から 7 月末−研修中(配属先のチームの先輩がメンターとして研修中から付く)
弁護士ドットコム(2026 年度)新卒エンジニア 3 名約 1 か月半の研修のあと、6 月から各サービスへ配属−−
ラクス(2026 年度)−合同研修 4 月 1〜10 日、技術研修 4 月 13 日〜6 月 30 日のあと配属。配属後の研修が 7 月 1 日〜9 月 11 日(目安。書き手が配属された楽楽精算開発部の例)なし(配属後の研修を置く)−
DeNA(2020 年度)−約 3 か月の研修のあと配属−研修のあと(入社前・入社直後・研修中の面談を経て確定)
freee(2025 年)−研修 3 か月のあと本配属。前半 4 週間、仮配属 2 週間、後半 5 週間あり(2 週間)−
弁護士ドットコム(2025 年度)新卒 5 名研修は 4〜7 月の 4 か月。社会人研修、技術研修(4 月第 2 週〜5 月末)、事業部の仮配属研修の順あり(各事業部をローテーション)−
CARTA HOLDINGS(2024 年)−−−−(新卒研修の中で Sync を行い、事業部へ配属する前に必ずキャリア面談をする)
(参考)ピクシブ(2023 年度・2024 年度。エンジニア職に限らない新卒)2023 年度 15 人、2024 年度 11 名約 2 週間の新卒研修(2023 年度は 4 月 3〜14 日の 10 日間)と OJT の期間を経て、7 月に本配属あり(OJT の配属先)新卒研修の最終日に仮配属先を発表

出典は記事の末尾にまとめました。弁護士ドットコムは 2025 年度と 2026 年度で組み方が違います。2025 年度は事業部の仮配属研修を挟み、2026 年度の記事には仮配属研修の記載がありません。DeNA は 2020 年度の記録で、今も同じ方法で決めているかは公開されていません。

本配属までの組み方の 4 つの型

配属先をいつ決めたかまで書いているのは、9 社のうち SmartHR(入社日)と DeNA(研修中の面談とアンケートのあと)だけです。そこで型は、配属先が決まる時点ではなく、入社から本配属までの組み方で分けました。CARTA は研修の期間と配属の時期が書かれていないので、型に入れていません。

型会社入社から本配属まで公開記録に書かれている特徴
入社日から配属先が決まっているSmartHR入社日から配属先ごとに、研修と開発のどちらを優先してほしいかの期待が分かれた
短い研修のあと本配属する日本経済新聞社・ディップ約 3 週間〜1 か月日経は研修の目的を「全体研修からチーム配属までの橋渡し」とする
入社から 2〜4 か月で本配属するDeNA・ドワンゴ・ラクス・弁護士ドットコム(2026 年度)約 2〜4 か月DeNA は面談とアンケートを経て確定させた。ラクスと弁護士ドットコムは、配属先をいつ決めたかは書かれていない
仮配属を挟んでから本配属するfreee・弁護士ドットコム(2025 年度)3〜4 か月freee は 2 週間。弁護士ドットコムは各事業部を順に回る

長さは編集部が記事の日付から入社日を起点に数えました。参考に載せたピクシブは、約 2 週間の研修の最終日に仮配属先を発表し、7 月に本配属するので、4 つ目の型に近い組み方です。

全業種の調査と並べると、位置が分かります。HR総研が 2024 年卒の採用を行った企業の人事責任者と採用担当者に聞いた調査(有効回答 180 件、2023 年 11 月 29 日〜12 月 8 日)では、配属(予定)先を伝える時期は「選考途上(内々定前)」25%、「新入社員研修終了時」24% が多く、入社式より前に伝える企業は合計で 54% でした。大企業(従業員 1,001 名以上)では「選考途上」は 7% にとどまります(HR総研、2024 年 3 月 5 日)。

仮配属先と本配属先の決め方は公開されていない

仮配属を挟む freee と、参考に載せたピクシブが、仮配属先をどう決めているか、仮配属のあと本配属先をどう決めるかは公開されていません。弁護士ドットコムの 2025 年度は、事業部をローテーションして実務に取り組む、までが書かれています。

カンビアの調査の自由記述には、入社後に配属先を伝える企業では、入社後に各部門の仕事を体験する期間を設けて、学生の希望が叶うように配慮しているという要約があります。一方で、全員の希望を実現しきれない悩みも多かったとまとめています。

決め方を公開している 3 社

配属の決め方(希望の聞き方・面談・何を基準にするか)まで公開していたのは、エンジニア職では CARTA と DeNA の 2 社です。ほかの 7 社の記録は、時期と研修の組み方までです。参考として、決め方を変えたシスメックスを加えます。

会社(時点)部署を知る機会希望の聞き方誰が決めるか決まったあとの伝え方
CARTA(2024 年)研修中の「Sync」。事業部の CTO やテックリードが事業部の全体を説明し、現場のエンジニアが普段の仕事ぶりや日々のやりとりを話す事業部へ配属する前に必ずキャリア面談をする面談でヒアリングしながら決める(決める人は書かれていない)書かれていない
DeNA(2020 年度)各部署が新卒向けの JD を書く。項目は職務の要約と定義、ポジション、開発環境・ツール、期待する役割と裁量、育成計画、メンター、チームの特徴・雰囲気、1 年後の成長イメージなど入社前・入社直後・研修中に複数回面談する。研修中は新卒 1 人にメンターを 2 人付け、最後に新卒とメンターの両方からアンケートを集めて面談に使う配属の担当チームが配属案を作り、技術責任者の会議体(エンジニアボード)のメンバーと議論したうえで、HR が責任を持って確定させる確定後に全員と一人ずつ面談し、なぜその部署か・どんな期待を持っているかを話す
シスメックス(2021 年〜、エンジニア職に限らない新卒)研修中に、配属先の候補の各部門が新卒に向けて、目指す姿や業務を紹介する新卒も自分をアピールするプレゼンテーションをする。そのうえで、新卒は希望する部門を、部門は希望する新卒を、順位を付けて申告する東京大学マーケットデザインセンターと共同研究したアルゴリズム(双方の希望順位を突き合わせて配属案を出す計算の手順)が、配属案を出す。人事部門の介入は最小限書かれていない

DeNA のアンケートで集めたのは、今気になっている事業・部門とその理由、直近で経験したいものとその背景と優先順、直近で経験したいポジション(2 つまで)とその理由、自分が在りたい姿と乗り越えたい壁です。

DeNA は、配属の条件として 3 つの納得を置いていました。新卒が配属に深く納得していること、配属先のメンバーが深く納得していること、会社として責任を持てる意思決定になっていることです。配属のポリシーは「その人が一番成長する環境に配属する」でした。部署の JD は、配属先のメンバーの納得のために用意したものです。担当者が全部のチームの状況を自分で聞いて回ろうとして、手が足りずに断念し、エンジニアボードと協力して各部署に書いてもらったといいます。書いたことで、現場も新卒をどう迎えるかを言葉にすることにつながったと書いています。

DeNA の担当者は、配属が確定したあとの面談で、配属先に納得がいかないという人は 0 だったと書いています。所感だと明記しています。

CARTA は、Sync を設けている理由として、配属前に事業部を知り、自分で意思決定することをとても大切にしていると書いています(CARTA HOLDINGS、2024 年 4 月 5 日)。

シスメックスは、マッチングを入れるために採用の流れから見直しました。総合職・業務職といった分け方ではなく、募集の時点から職種別の窓口を設けています。

希望が通らなかった人への伝え方

本人の希望が通らなかったとき、その人にどう伝えたかを書いた会社は、調べた 11 社では見つかりませんでした。DeNA の記録は、確定後に全員へ理由と期待を伝えた、までです。

シスメックスは、第 1 希望の部門へ配属された場合でも、しばらくして自分の強みや価値観と合わないと感じるケースがあると書いています。その場合にもう一度挑戦できるように、空いているポジションを全社に公開して応募できる仕組みを整えています。

ここからは編集部の提案です。 公開記録が無いので、効果は確かめられていません。

言い方の例です。「◯◯チームが第 1 希望だったことは、決める場でも話しました。今年は◯◯チームでメンターを付けられる人がいなかったので、△△チームにしました。△△では、研修で取り組んでいた□□を活かして、最初は◇◇を任せたいと考えています。半年後の面談で、もう一度希望を聞きます」

編集部の見立て

編集部の見立ては、配属の結果そのものよりも、決め方と日程が新人に見えていないことが不信を生むということです。

根拠は、決め方を変えた会社の説明です。シスメックスは、決まり方がブラックボックスでなくなったことで納得感が増したと書いています。DeNA の担当者は、配属を決める人への不信感があると納得できないので、信頼関係づくりから手を付けました。カンビアの調査では、企業自身がトップダウンの配属決定への不満を課題に挙げています。

反対の根拠も並べます。

来年 4 月の計画に書く 6 つのこと

公開記録から、来年 4 月の配属の計画に書いておくとよいことを、編集部の提案として挙げます。効果を確かめた数字はありません。

  1. 配属先を伝える日。 入社日(SmartHR)、研修の途中(ディップは技術研修の 2 週目から配属先に入り、ドワンゴは配属先のメンターが研修中から付く)、研修の最終日(ピクシブの仮配属先)、研修のあと(DeNA)のどれにするかを決めます。研修の中身を配属先に合わせたいなら早く、研修中の希望の変化を待ちたいなら遅く決めます
  2. 決め方と日程を伝える日。 結果を伝える日とは別に、内定者面談や入社直後の説明で「いつ・誰が・何を見て決めるか」を先に話します。DeNA は入社前の面談で、決める人が自分の大事にしていることを話しています
  3. 部署を知る機会。 部署ごとに 1 枚の JD を書いてもらい(下の雛形)、研修中に現場のエンジニアの話を聞く会を 1 回置きます(CARTA の Sync、日経の部署・チームの紹介、シスメックスの部門のプレゼンテーション)。研修を外部の研修会社に任せるなら、見積もりの段階で、配属先の情報を研修の中身に入れられるか、研修中の所見やアンケートを会社に出してもらえるかを確かめます
  4. 希望を聞く回数と方法。 DeNA の例では、入社前・入社直後・研修中の少なくとも 3 回の面談と、研修の最後のアンケートです(下の質問例)。新卒の人数が多く、全員の希望を担当者が調整しきれないなら、双方の希望順位から決めるシスメックスの形もあります
  5. 誰が・何を基準に決めるか。 現場の技術責任者と人事のどちらが最後に決めるかを書きます。DeNA は、技術責任者と議論したうえで HR が責任を持って確定させました。配属案を比べる基準は下のチェックリストを使います
  6. 確定後の面談と、合わなかったときの道。 一人ずつ、なぜその部署か・何を期待しているかを話します(DeNA)。合わなかったときに異動を申し出られる道があるなら、それも伝えます(シスメックスの社内公募)

日程表の例

編集部の提案です。 新卒 2〜5 名、受け入れるチームが 2〜3 の会社で、研修のあとに決める形を基本にしました。効果を確かめた数字はありません。

時期すること主に動く人
10〜11 月受け入れるチームの EM に、部署の JD と受け入れに割ける時間(週に何時間か)を頼む人事
11〜12 月内定者面談で、決め方と日程を伝える。決める人が自分の大事にしていることも話す配属を決める人
1〜2 月JD を集め、チームごとのメンター候補を決める人事・EM
4 月の入社日決め方と日程をもう一度説明し、JD を渡す。1 回目の面談人事
4〜5 月部署を紹介する会を 1 回。研修中の面談各チームの EM と現場のエンジニア・人事
6 月の中ごろ新卒とメンターにアンケートを取り、面談で使う人事・研修中のメンター
6 月の下旬配属案を作り、EM と議論して確定する人事・EM
6 月末確定後の面談を一人ずつ。希望が通らなかった人から先に配属を決めた人
7 月の最初の週本配属。配属先のメンターと最初の 1on1配属先のメンター
翌年 1 月配属の納得をもう一度聞く(「うまくいっているかの測り方」)人事

入社前に配属先を伝える形にするなら、アンケートと確定を 1〜2 月の内定者面談のあとへ移し、研修中の面談は希望が変わっていないかの確認に使います。

面談とアンケートの質問例

編集部の提案です。 新卒への問いは、DeNA がアンケートで集めた項目を、人事が読み上げられる形にしました。6 と 7 は編集部が足しました。

番号新卒への問いもとにした DeNA の項目
1いちばん気になっている事業や部署はどこですか。なぜですか今気になっている事業・部門とその理由
2次に経験したい仕事を、優先する順に挙げてください。そう思った背景も教えてください直近で経験したいものとその背景と優先順
3やってみたい役割を 2 つまで挙げてください。理由も教えてください直近で経験したいポジション(2 つまで)とその理由
4どんなエンジニアで在りたいですか自分が在りたい姿
5いま乗り越えたい壁は何ですか乗り越えたい壁
6入社したときから希望は変わりましたか。何がきっかけですか研修中に希望が変わる人は少なくないという記録
7希望の部署にならなかったとき、気がかりなことはありますかなし

DeNA はメンターからもアンケートを集めていますが、設問は公開されていません。メンターへの問いは編集部の案です。

部署に書いてもらう JD の雛形

編集部の提案です。 項目は DeNA が各部署に書いてもらった JD の項目です。右の列を、受け入れるチームの EM に埋めてもらいます。

項目書いてもらうことの例記入欄
職務の要約と定義このチームで新人が担う仕事を 3 行で
ポジションサーバーサイド、フロントエンド、インフラなど
開発環境・ツール言語とフレームワーク、インフラ、レビューや連絡に使うツール、新人が最初に触るリポジトリ
期待する役割と裁量最初の 3 か月と 1 年目に任せたいこと
育成計画本配属から 3 か月の進め方
メンター付ける人と、週に何時間を受け入れに割けるか
チームの特徴・雰囲気人数、会議の多さ、リモートか出社か
1 年後の成長イメージ1 年後に一人でできるようになっていてほしいこと

配属案を比べるチェックリスト

編集部の提案です。 DeNA が配属の条件に置いた 3 つの納得に、比べる項目を対応させました。

3 つの納得配属案ごとに確かめること
新卒が納得しているか本人の希望の順位に入っているか。研修で触れた技術とチームの技術スタックは近いか(遠いなら最初の 3 か月の学び方を書けるか)
配属先のメンバーが納得しているか配属先にメンターを付けられるか。チームが受け入れに割ける時間はあるか。JD に書いた期待と本人の希望は重なるか
会社として責任を持てるか1 年後の成長イメージを描けるか。その部署の体制が当面は続く見込みか

メンターの出番

DeNA は研修中、新卒 1 人にメンターを 2 人付け、研修の最後にはメンターからもアンケートを集めて面談に使いました。

編集部の提案です。 配属のあとは、配属先のメンターが確定後の面談の内容を人事から受け取り、最初の 1on1 で「配属の理由をどう受け止めたか」「最初の 1 か月で覚えたいこと」「研修で触れていない技術で不安なもの」を確かめます。配属後のメンターの役割は配属後の新人を誰が支えるかで比べています。

新卒が数名の会社の場合

新卒の人数による違いを書いた公開記録は少ないです。HR総研は、配属候補先が多く相性を丁寧に検討する大企業ほど選考途中には伝えにくいとし、中小企業には選考途中で配属予定を伝える方法に可能性があると書いています。弁護士ドットコムの 2026 年度(新卒エンジニア 3 名)は、約 1 か月半の研修のあと配属しました。

編集部の提案です。

うまくいっているかの測り方

配属の決め方を変えたあとの数字を公開していたのは、調べた 11 社ではシスメックスだけでした。導入した最初の年度(2021 年度)の結果は次のとおりです。

見たもの結果
新卒の満足度95%
新卒のエンゲージメントスコア前年度より 5 ポイント近く上がって 71%
「他の部門へ異動する気はない」と答えた新卒の割合前年の 64.4% から 85.7%
受け入れ部門の満足度70% ほど

シスメックスは新卒と受け入れ部門の両方を測っています。初年度の部門の満足度は 70% ほどで、新卒の 95% より低くなりました。次年度以降、部門が自部門の魅力の伝え方を工夫し、双方の満足度が上がったと同社は書いています。

公開記録をもとに、見るとよいものを編集部の提案として挙げます。

見るもの見方手がかりにした例
新卒の納得配属を伝えた直後と半年後に、新卒に同じ問いで聞く。「配属の決まり方を説明できるか」も一緒に聞くシスメックスの満足度、DeNA の確定後の面談
受け入れ側の納得同じ時期に、配属先の EM とメンターにも聞くシスメックスの部門の満足度、DeNA の「配属先のメンバーの納得」
異動の希望1 年目のうちに異動を希望した新卒の数を数えるシスメックスの「他の部門へ異動する気はない」の割合
研修中の希望の変化入社時と研修の最後のアンケートで、希望の部署が変わった人の数を数えるDeNA の、研修中に希望が変わる人は少なくないという記録
1 年以内の離職配属先ごとに数える。理由の聞き取りに「配属」の選択肢を入れる公的統計の離職理由に「配属」の選択肢が無いこと

出典

確かめられなかったこと: 配属の決め方を公開していたエンジニア職の会社は、調べた 9 社では CARTA と DeNA だけでした。配属先をいつ決めたかまで書いていたのは SmartHR と DeNA だけでした。DeNA の記録は 2020 年度のもので、今も同じ方法かは公開されていません。希望が通らなかった人への伝え方を書いた会社は見つかりませんでした。freee とピクシブが仮配属先と本配属先をどう決めているかは公開されていません。配属への不満を理由にした離職を直接数えた公的統計は見つかりませんでした。情報通信業やエンジニア職に限った 3 年以内の離職率は、この記事では確かめていません。ピクシブとシスメックスの記録はエンジニア職に限らない新卒のもので、エンジニア職だけの記録や数字は公開されていません。

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